◆砂漠とステップにおける戦争
ウンゲルン=シュテルンベルクUngern=Sternbergは元ロシア帝国軍人で、ロシア革命勃発後、白軍に参加する一方、自らをチンギスハンの生まれ変わりと信じてモンゴルを侵略した人物である。
かれは当時から狂人、サイコパスとして知られていたようである。
この人物に興味を持ったのでいろいろと本を読み始めた。
・シュテルンベルクのほか、エンヴァル・パシャEnver Pasha、馬仲英について書かれた本。
Setting the East Ablaze: Lenin's Dream of an Empire in Asia (Not A Series) (English Edition)
- 作者: Peter Hopkirk
- 出版社/メーカー: John Murray
- 発売日: 2012/02/16
- メディア: Kindle版
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・シュテルンベルクの軍に同行したポーランド人学者、探検家Ossendowskiの手記。当時はベストセラーになったという。
Beasts, Men and Gods (English Edition)
- 作者: Ferdinand Ossendowski
- 発売日: 2012/05/17
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・真偽不明の伝説も混じっているという将軍の伝記
・シュテルンベルクは、形式的には、コルチャーク率いる全ロシア軍(反革命軍)の指揮下にあった。
このためロシア内戦の細部も知る必要があるとおもい次の本を読もうと思った。
Red Victory: A History Of The Russian Civil War, 1918-1921
- 作者: W. Bruce Lincoln
- 出版社/メーカー: Da Capo Press
- 発売日: 1999/05/07
- メディア: ペーパーバック
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馬仲英は満州事変の時期に東トルキスタンで活動した軍閥の首領である。面白いのは馬将軍も、その敵も、どちらも南京政府に任命された役職者であるということ。
――馬軍の残虐行為……耳削ぎ、舌抜き、眼えぐり、歯をむしられ、手足は粉砕された。漢人の子供たちは、灯油で生きたまま焼かれた。(Setting the East Ablaze)
――彼自身の勇気は驚嘆に値する。何者にも怯まず、戦争などは屁とも思わぬ。町へ突撃するときにはいつでも真っ先に城壁へ上がる。だが途方もなく残忍で、開城を承知しないと、町中の人間を平気で殺す。(馬仲英の逃亡)
――……あの男が砂漠の海を「さまよえるオランダ人」のように航海している限り、アジアのこのあたりには平和はありません。(馬仲英の逃亡)
・ボリシェヴィキとチベット仏教、モンゴルのオカルト思想との怪しい結びつきに着目した本だという。
Red Shambhala: Magic, Prophecy, and Geopolitics in the Heart of Asia
- 作者: Andrei Znamenski
- 出版社/メーカー: Quest Books
- 発売日: 2011/06/07
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◆シベリア干渉戦争
評価の高い新書で、実際に読んだところ非常に面白かった。
「シベリア出兵」という用語からは戦争のイメージが失われてしまう。実態は、米国史上最長の負け戦、アフガン戦争と同じく、終わりのないゲリラ討伐戦争である。
・シベリア出兵犠牲者について……靖国神社によれば正式な軍人の戦死は2643人、病死690人、計3333人である。
・病死の割合は日露戦争を上回った。
――人が死ねば死ぬほど、兵は退けなくなります。リーダーは、決して死者を見捨てることが許されないからです。この『死者への債務』は、あらゆる時代におきていることです。犠牲者に背を向けて、『我々は間違えた』とはいえないのです。(ジョン・ダワー)
シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争 (中公新書)
- 作者: 麻田雅文
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: 新書
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Obama's Wars (English Edition)
- 作者: Bob Woodward
- 出版社/メーカー: Simon & Schuster
- 発売日: 2010/09/27
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――戦争が始まって8年たち、かれらは何が核心的な目的なのかを定めようと奮闘していた。(『オバマの戦争』)
2017年7月現在、アフガンには8400名の米兵がおり、トランプ政権はさらに4000人規模の増派を検討している(併せて、トランプ大統領はアフガン駐留司令官の更迭を示唆したという(ロイター & CBS NEWS))
◆新疆
ウルムチ、コルラ、トルファンは旅行したことがあるが、その他の地域……ホータン、ヤルカンドなどにもいずれ行きたい。