つづき
政治過程を考える上での、一通りの分野が網羅されている。興味のある事項はさらに専門的な本を読んで調べることができる。
3部 組織化
7 利益団体
今日の政治は、利益団体の存在を無視して考えることができない。
大別……セクター団体は経済的利益を基礎とし、価値推進団体は特定の価値や主義を基礎とする。
多元主義とコーポラティズム……多元主義においては集団は秩序付けられていない。コーポラティズムでは個人は1団体にのみ帰属し、国家が団体を認可し、準公務員的業務を引き受ける。コーポラティズムでは国家が利益団体のあり方を決める。
コーポラティズムは北欧等で採用されたが、やがて生産性と国際競争力の低下に直面し、新自由主義が支配的となった。
8 政党
政党、政党システム、政党組織の分析。
政党の機能は政策形成、指導者選抜と政府の形成、人材発掘と登用、国民の政治教育である。
政党システム……2党制、1党優位性、多党制に分けられるが、政党制はこうした分類から分類へ常に推移していく。
政党組織の類型……幹部政党、大衆政党、間接政党。幹部政党は自民党のように社会エリートが形成する党、大衆政党は共産党のように一般党員を増やしていく党である。間接政党は、労組や宗教団体等を基盤とする、個人党員を持たない大衆政党である。
政党の支持層による分類では、包括政党や宗教政党、階級政党等に分けられる。
自民党において、派閥は無意味なパワーゲームではなく、政策バランスを取るために派閥間で政権を移してきたと解釈することができる。
4部 制度
9 議会と立法過程
民主主義に議会は不可欠だが、現代では議会の機能不全が課題となっている。
議会の本来の機能は対立のコントロール(conflict management)、代表、政策への影響である。他に行政監視統制、リーダー選抜、争点明示も担う。
ところが、官僚制の台頭、党執行部の権力集中、利益団体の強力化により、議会の役割は低下している。
変換型議会とアリーナ型議会、ヴィスコシティの概念について。
10 官僚制と政策過程
ダウンズによれば、官僚は公共奉仕ではなく自己利益の最大化のために行動する。ダウンズ以降の有力な考え方は次の2つである。
・予算極大化モデル……官僚はすべて予算極大化、昇進、威信増大のために動く。
・組織形整モデル……官僚の行動様式は地位によって異なる。予算モデルのみでは説明できない官僚たちの行動を補完するものである。
官僚はどのような主義に基づいて働くか……合理主義、理想主義、現実主義
・合理主義……与えられた任務だけを淡々とこなす
・理想主義……政治家や利益団体を雑音と考え、自らの考える理想を実行する
・現実主義……場当たり的な利害の調停だけを目的とする。
官僚制とは、「明確な権限の配分、職務の階層的構造、役所と私生活の分離、職務の専門的遂行、フルタイムの専念、一般的な規則による職務遂行」を特徴とする。
5部 統合
11 政策ネットワーク
国家の強さ:官僚機構の集権性、官僚の数や質、国有産業や規制立法の数、連邦制か単一制か
12 執政集団とリーダーシップ
リーダーシップ論は、戦後、強力なリーダーが消えるに伴い停滞した。
13 国際化
国際関係、特に安全保障と経済関係は、政治過程論において見過ごせない要素となった。
14 発展と課題
(略)