うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『現代アフリカ文学案内』土屋哲

 アフリカは現在五十三の独立国があるが言語は数百にわたるため旧宗主国の言葉を用いざるをえない。海岸部は熱帯だが内陸の高地は涼しい。
 ナイジェリアは三つの部族が連邦をなしているがかつてビアフラ紛争を経験した。セネガルは旧フランス植民地である。ケニアは旧イギリス植民地で首都ナイロビは完全に西欧化、文明化している。旧ドイツ領タンザニア社会主義建設に失敗し窮乏していた。

 厳格なカルヴァニストであるオランダ人は南アフリカアパルトヘイトをおこなったがこれは選民思想に基づく。ハム族の子孫たるアフリカ人は下賎な人間だとされた。

 奴隷貿易はどのようにおこなわれたのか。当時アフリカでは部族同士が抗争を繰り広げていた。彼らは西洋の銃がほしかったから、敵対部族の捕虜を奴隷として売り飛ばし銃を手に入れたのだった。アメリカ・アフリカ・ヨーロッパの三角貿易はこうして繁栄した。

 ゴーディマは内向し衰退したヨーロッパ文学にたいしアフリカの文学こそ創造性にとむ建設的なものであると主張する。ヨーロッパではあらゆる事件と心理は分析されつくし、いまでは猥褻と心身の異常だけを追い求める始末である。フランスはヨーロッパの中華とでもいうべきで、アフリカにたいし厳しい同化政策をおこなった。

 セネガル出身のサンゴールは「ネグリチュード」運動の創始者であった。はじめは人種差別差別主義者だったがやがて白人と黒人は和解しなければならないと考えを改めた。彼はフランス人に近いアフリカ人になったとして下の世代からは批判の声もある。

 エイモス・チュツオーラはナイジェリアのヨルバ族のコスモロジーと神話・説話に素材をとっている。

 ナイジェリアの二大作家ウォレ・ショインカとチヌワ・アチェベ、そののちングーギ・ワ・ジオンゴ、その後の第三世代がベン・オクリやマレチェラだという。

 近代化と伝統の問題は普遍的なテーマである。

 アフリカでは西洋の製造物たる社会主義は根づかなかった。また部族が割拠するため問題はあっても独裁や強烈なリーダーシップが必要とされる。

 

 セシル・ローズの征服した南ローデシアがのちに独立しジンバブエとなった。

 

現代アフリカ文学案内 (新潮選書)

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