観光団は案内人にしたがって門をくぐった、先頭に
方形ののぼり、観光の名目をプリントした、アルミの旗をもった旅行会社の
人形がいて、石畳のすき間に指を
差しこんで、よじのぼる。
日がかたむくと、城壁にむけて白い円が吸いよせられて
空は紫色になった、光の放射にともなって
寺院の構成物品のなかでも、固い素材、たとえば
銅や鉄、錫でできた部分、かわらの面や、寺の無数の壁
門や、堂の駆動部につけられた部品は、照り返しをおこなった
住職の隊列は、観光団が死ねばいいと希望した、とどろく、
旗を地軸と反対に旋回させる突撃がはじまる、寺院は
城壁に対する保持力を失った。
住職はぜんぶ基礎に圧迫されて死んだ、寺院も観音さまをのこしてぺしゃんこになった