なんの変哲もない生活から、異常な人間たちの世界にまきこまれていく話。
主人公の賃金労働者は、恋人を殺される。これを調査していた友人の探偵も殺される。主人公のことを好いている同性愛者の友人がいて、2人は協力して犯人をつきとめようとした。
雑記帳が発見され、その中身が引用されるところから、日常生活がこわれていく。雑記帳は、幽閉されたシャム双生児によってかかれており、この障碍者の様子も、まわりの風景も、常軌を逸している。
主人公とその友人は謎をとくために離島にむかって出発する。この島では、不具者の生産がおこなわれていた。
恋人の死は単なるきっかけとして扱われていて、主人公もあまり動揺をうけていない様子だった。文字の上では動揺したとかかれているが、主人公の思考も、作者の興味も、異常な島への冒険にむいていると感じた。
不具者たちの不気味なうごき、黒幕であるくる病の老人の邪悪さが印象に残った。島でおこなわれる宝探しと、地下迷宮からの脱出は、風景がよく思い浮かんでおもしろかった。