うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『Ivan's War』Merridale, Catherine その3 ――第二次世界大戦のソ連兵の体験談

8 1944年6月22日、バグラチオン作戦が開始された。この作戦はほぼ同時期に西側で始まっていたオーバーロード作戦(ノルマンディ上陸)と同等以上の規模だった。 ja.wikipedia.org 1943年の秋以降、赤軍の士気は低下していた。かれらの精神や肉体…

『Ivan's War』Merridale, Catherine その2 ――第二次世界大戦のソ連兵の体験談

4 8月までにソ連はウクライナ、ベラルーシ、バルト三国の大半を失い、またレニングラードは包囲された。秋にはドイツ軍、ソ連市民の多くが破滅を確信していた。 モスクワ防衛を担ったのはNKVD特殊部隊自動化歩兵旅団「OSMBON」だった。かれらは…

『Ivan's War』Merridale, Catherine その1 ――第二次世界大戦のソ連兵の体験談

◆メモ 当時、兵たちが作成した手紙や(違法とされていた)日記、秘密警察の報告文書、また元軍人からの聴き取りを頼りに、第二次世界大戦における赤軍の内部を明らかにする。 ドイツを撃破した兵隊たちは一枚岩ではなく、そこには迫害される少数民族やユダヤ…

中東の歴史の本、労働について

◆本 冷戦時代のルーマニア情報機関将官パチェパの本を読み終わった。 この本自体がかなり危険な本で、どこからどこまでが事実なのかが疑わしいものだった。 Disinformation: The Secret Strategy to Destroy the West メディア: DVD いま読んでいるのは、1…

『法哲学』平野仁彦 編 その2 ――法とは何かを考える入門

4 法と正義の基本問題 法が実現すべき正義とは何か。どのような法秩序を形成していくのが望ましいか。 (1)公共的利益 公共の利益を増進するにあたり、功利主義とその批判を並べ、問題を検討する。 功利主義の問題点……個人の人格がなおざりにされる、少数…

『法哲学』平野仁彦 編 その1 ――法とは何かを考える入門

法とは何か、法はどのようなものであるべきか、等を研究するのが法哲学である。 本書は非常に広い範囲をカバーする教科書である。 *** 1 現代の法と正義 現代社会はグローバル化が進んでおり、法もまたその影響を受ける。 法哲学とは、法の基本的なあり方に…

買い物(柔道系、昔話、口承文芸、佐藤優の旅行本)

◆落語、昔話、口承文学 この間読んだ落語の本が面白かった。文学関係のライターが、口承文芸の1つという視点から落語を解説している。 落語の落ちとは、一般的な起承転結とは異質な、物語の構成や時空を超越した語り口であるという。 落語を聴いてみたけど…

『岸信介』原彬久 ――岸についてのまとまった説明

岸の功罪について考える。 ・戦前は国家統制、国家主義を推進し、関東軍とともに満洲国経営を主導した。また太平洋戦争時、指導者の1人だった。 ・一方的な駐軍協定だった安保条約を、保護的内容に改定しようと試みた。 ・その過程で強行採決等を行ったため…

『ハッカーと画家』はおもしろかった

プログラミング言語やハッカー(優れた開発者)に関する話題だけでなく、現代の子供社会、芸術一般に関する話もおもしろい。 経済システムに関する著者の考えは、いわゆる「リバタリアン」に分類されるものである。 ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者…

生き物の勉強

生き物のしくみについて勉強したいと思い、入門的な本をいくつか買いました。 生き物をめぐる4つの「なぜ」 (集英社新書) 作者:長谷川 眞理子 発売日: 2002/11/15 メディア: 新書 動物の生存戦略 行動から探る生き物の不思議 (放送大学叢書) 作者:長谷川 眞…

『スターリン時代』クリヴィツキー その2 ――亡命・不審死したソ連情報員の暴露本

4 スターリン、ドル紙幣を偽造する スターリンの指示を受けた各国の工作員たちはドル紙幣の偽造に従事した。 5 オゲペウ(OGPU) OGPUはジェルジンスキーの設立したチェカの後身である。OGPUはスターリンの手先として粛清を実行したが、長官ヤ…

『スターリン時代』クリヴィツキー その1 ――亡命・不審死したソ連情報員の暴露本

◆メモ 著者のワルター・クリヴィツキーは西ヨーロッパのソヴィエト諜報機関長として勤務したのち亡命し、1941年に不審死した。 著者はロシア革命当時からボリシェヴィキとして働いてきたが、スターリンの所業――集団餓死、大粛清、スペイン内戦における不…

非農民、被差別民、博徒や悪党の歴史

フィリップ・ポンス『裏社会の日本史』は、歴史の端で扱われていた非農民、被差別民、芸能の民や博徒、悪党などを中心に扱った本である。 基盤となっているのは周縁民を取り扱う日本史学(網野等)や、明治以降の貧民・下層社会をえがいたジャーナリズム(横…

Raspberry Piを買う

ようやくCISSPの試験が終わり無事合格したので、いろいろやろうと考えていたことができます。 ◆Raspberry Piを買った 小型PCと小型モニターを買いました。目的は、サイバー関係のニュース・情報を集める端末をつくるためです。 LABISTS Raspberry Pi 4 4B-64…

『野中広務 差別と権力』魚住昭 ――ある政治の現実

◆メモ 著者によれば野中は弱者に対する気遣いを持った政治家だという。 しかし、政治家としての業務の上では、賄賂や買収、新聞記者への食事振る舞いによる世論統制などを行っている。 こうした汚い行為が政治の現実であり、今も昔も変わっていないという事…

バルカン半島、オスマン帝国

The Balkans: A Short History (Modern Library Chronicles) 作者:Mazower, Mark 発売日: 2002/08/06 メディア: ペーパーバック ◆バルカン半島 Mark Mazower『Tha Balkans』を読み始めた。 バルカン半島は長い間オスマン帝国の支配下にある「ヨーロッパ・ト…

亡命ソ連スパイの本に登場する日本

Viktor Suvorovは元ソ連軍参謀本部情報総局所属の軍人で、イギリスに亡命後、様々な暴露本を書いた。 どれも非常に面白く、また元自〇隊員としては共通点や違いを探し出すのも面白い。 ソ連解体後も、軍や情報機関は基本的に中身が変わらないので、現在に通…

『モンゴル帝国の興亡』杉山正明 その2 ――モンゴル帝国の入門

2 フレグの西方征服……イラン、バグダードのアッバース朝、イスマーイール派(シーア派暗殺教団) ja.wikipedia.org イスマーイール派は10世紀にエジプトでファーティマ朝を起こした。そこから分派した東方イスマーイール派は、イランのアルボルズ山脈を中…

『モンゴル帝国の興亡』杉山正明 その1 ――モンゴル帝国の入門

モンゴル帝国の成立から解体までをたどる。従来のペルシア語史料・中国語史料のみにとらわれず、世界史的な視野からモンゴルを再認識するのが特徴である。 読みやすいが、帝国成立後の内紛過程は複雑である。 モンゴルだけでなく、元朝、明朝、清朝ともに、…

『SleepWalkers』を読んで

オーストリア=ハンガリー帝国等に興味を持ったので、まずは新書で調べる必要があることを認識した。 ハプスブルク帝国 (講談社現代新書) 作者:岩崎周一 発売日: 2017/08/25 メディア: Kindle版 ついでに以下の本も買った。 傭兵の二千年史 (講談社現代新書)…

固定記事 ◆図書案内

◆随時更新中 本ブログに保管されている本メモ・感想文のリストです。 現在、以下のリストから漏れている本もあります。 ※ 壊れている記事があるので修正中 図書案内:日本と歴史 - うちゅうてきなとりで 図書案内:戦争と軍 - うちゅうてきなとりで 図書案内…

『大元帥・昭和天皇』山田朗 その2 ――最高指揮官の行動をたどる

3 アジア太平洋戦争における天皇の戦争指導 天皇が、対英米戦争への躊躇から、容認へと転換した理由について考える。 海軍……「ジリ貧論」(アメリカから石油禁輸されたら数か月以内に開戦すべし)、勝利の可能性は不明、覚束ないとの永野総長回答 杉山総長…

『大元帥・昭和天皇』山田朗 その1 ――最高指揮官の行動をたどる

――本書は、大元帥としての昭和天皇の軍務と戦争関与の実態を、可能な限り具体的に明らかにしようとしたものである。 ja.wikipedia.org ◆所見 天皇は何も知らなかった説、常に戦争に反対していた説が、資料(側近、軍部、天皇自身の発言録)によって明確に否…

最近観たNetflixのカタルーニャ番組

www.netflix.com カタルーニャ独立運動を題材に作られたドキュメンタリーです。 ja.wikipedia.org スペインはまだ行ったことがないので行きたくなりました。 ぽつぽつと本は読んでいましたが、あらためて調査しようと思い古本を買いました。 物語 カタルーニ…

noteを始めました

コンテンツ配信サイト、noteで文章の配信を始めました。 note.com noteでは、純粋制作物をメインに公開していく予定です。 本ブログは引き続き図書メモをアップロードしていきます。 その他のコンテンツ www.youtube.com twitter.com www.twitch.tv plicy.net

『流転の王妃の昭和史』愛新覚羅浩 ――血統がいい人の話

愛新覚羅溥傑(溥儀の弟)と政略結婚させられた嵯峨侯爵家出身者の自伝。 著者は終戦で夫の溥傑と離別したあと、周恩来の取り計らいで中国に戻り夫と再会、その後北京で生活した。 ja.wikipedia.org ja.wikipedia.org ◆所見 嵯峨家はもともと正親町三条と名…

フィクションにふたたび挑戦する

◆つぶやき 長らく読めなくなっていた小説をまた読もうとおもっていくつか買いました。 元々、中高生のときは小説ばかり読んでいたのですが、近年はほとんど通読することができなくなっていました。 読んでいる間に作り物感を察してやめるか、時間がもったい…

『権力と支配』マックス・ヴェーバー その2 ――権力を考える古典

8 合議制と権力分立 支配は伝統的にあるいは合理的に制限されることがある。 ・封建制 ・官僚制 ・合議制 合議制原理を最高決定機関に適用することで、支配を弱体化しようとする作用がある。 ――合議制は、――単一支配的な棄却合議制の事例をのぞき――精確かつ…

『権力と支配』マックス・ヴェーバー その1 ――権力を考える古典

◆メモ 歴史上の政治権力に関するデータを集め、定義として一般化しているため、理解が難しい箇所が多い。 しかし重要なのは、ヴェーバーによる民主制や官僚制の分析である。ヴェーバーが描く民主制や官僚制は、きれいごとの定義ではなく、歴史上の現実である…

一様でない国とは(米議会突入ニュースを見て)

◆米議会突入ニュースを見て www.itv.com SNSで連絡をとっている知り合いがシェアしていた画像です。駐在していた場所の関係(民主党州)なのか、わたしがアジア人だからなのか、滞在中もほとんどトランプ支持者に対面で会う機会がありませんでした。 記憶に…