うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

強制志願/ 調和による統制を目指す国

「強制ではない」が「強く推奨する」と指揮官が言ったとき(米軍ジョーク) ◆和の国、令和(Beautiful Harmony)、和諧社会(Harmonious Society) ジャーナリスト、ウォルフレンの本『日本/権力構造の謎』は、1989年に出版されたもので、本書で指摘さ…

『未完のファシズム』片山杜秀 その2 ――日本軍の精神主義の起源

5 「持たざる国」の戦争 ドイツ用兵思想の系譜……小モルトケ(普仏戦争で従軍したモルトケの甥)の包囲殲滅戦略と、シュリーフェンの短期決戦主義が、日本陸軍に影響を与えた。 ドイツ帝国軍から学んだ殲滅戦思想は、1928年改訂の『統帥綱領』や続く『戦…

『未完のファシズム』片山杜秀 その1 ――日本軍の精神主義の起源

本書の特徴は、日本軍(主に陸軍)が精神主義に傾倒し暴走した原因を第1次世界大戦によるものと分析した点にある。従来の、日露戦争で驕りが生じ、昭和恐慌期に過激化したという定説に異議を唱える。 近代史、軍事史にそこまで詳しくないわたしのような読者…

戦時下の選挙と徴兵

◆戦時中の民主主義 南北戦争開戦当初は、合衆国(北部)において、連合国(南部)派とみられる政治家等の拘留が行われたものの、戦争を通じて選挙や議会制は継続された。 南北戦争後半の1864年の大統領選においてリンカーンは落選の危機にあった。 北部…

『チリの地震』をまた買った

ハインリヒ・フォン・クライストの本『チリの地震』が読みたくなったが手元になかったので買った。 チリの地震---クライスト短篇集 (KAWADEルネサンス/河出文庫) 作者:H・V・クライスト 発売日: 2011/08/05 メディア: 文庫 あらすじは細かく覚えていないが…

『大本営報道部』平櫛孝 ――大本営発表の内側

大本営報道部に開戦直後の数年間在籍していた軍人による著書。 後半は自身の体験談ではなく資料からの抜粋が多くなる。しかし、大本営報道部とマスコミ、国民とのつながりや要素を知ることはできる。 プロパガンダは平時・戦時に関わらず国家政策の重要部分…

そのうち読みたい南北戦争・独立戦争関連の本

◆南北戦争の主要な将軍たちに関する本 Grant (English Edition) 作者:Chernow, Ron 発売日: 2017/11/02 メディア: Kindle版 William Tecumseh Sherman: In the Service of My Country: A Life (English Edition) 作者:McDonough, James L. 発売日: 2016/06/1…

『Into That Darkness』Gitta Sereny その3 ――普通の市民が絶滅収容所の所長になったとき

サイモン・ヴィーゼンタールは、戦後、ナチ戦犯の逃亡に手を貸した、「オデッサ」のような組織が存在する、と主張したが、著者は懐疑的である。協力的な人びとはいたが、それははっきりとした秘密結社のような形ではなかったとする。 シュタングルらも、あく…

『Into That Darkness』Gitta Sereny その2 ――普通の市民が絶滅収容所の所長になったとき

グロボクニクは、苦痛を訴えるシュタングルに対して、家族を連れてこさせたり、ルブリンで休養をとらせたりした。しかし、シュタングルは任務から解放されなかった。 続いてシュタングルはトレブリンカでの建設作業監督を命じられた。ここでも、トレブリンカ…

『Into That Darkness』Gitta Sereny その1 ――普通の市民が絶滅収容所の所長になったとき

シュロス・ハルトハイム(Schloss Hartheim)安楽死施設の管理者、ソビボル(Sobibor)、トレブリンカ(Treblinka)絶滅収容所の所長を務めたフランツ・シュタングル(Franz Stangl)とのインタビューをまとめた本。 シュタングルは戦後逃亡し隠れていたが、…

疫病について

ウイルスの流行を受けてこれまで読んだ本を思い出した。 ◆密集地帯――軍隊、都市 パールハーバー基地ではスポーツジム利用者の中でコロナ患者が発生し、基地全体が閉鎖された。 文書が出され、兵隊たちは頭髪を整えておかなくてよいという処置になった。床屋…

『毒ガス戦と日本軍』吉見義明 その2 ――日本軍はどのように化学兵器を使ったか

5 エスカレートする作戦 ・1939年、陸軍は山西省において糜爛性ガス(イペリット、ルイサイト)の実験使用を行った。 残存している命令からわかること……中国民間人への被害は努めて減らすという努力義務を科す一方、三国人(欧米人)に対しては絶対に被…

『毒ガス戦と日本軍』吉見義明 その1 ――日本軍はどのように化学兵器を使ったか

◆所感 日本における毒ガス兵器開発の経緯から実際の使用までを包括的に説明する本。おそらくこれ以上に詳しい日本語の一般書はないのではないか。 毒ガスは第2次大戦時に既に非人道的兵器、国際法違反であるという認識が広まりつつあったが、総力戦のなかで…

音楽オモチャで遊ぶ ――FL Studio

最近、所用で時間をとられているので制作した音楽を記事にすることにした。 FL Studioという作成ソフトで簡単に音楽をつくることができる。 これらの素人音楽はわたしの素人ゲームに採用されている。 [HQ] ENSEI / ambient techno music for a junk game

『ロシア秘密警察の歴史』リチャード・ディーコン その3 ――秘密警察は人類最古のシステムの1つ

16 リヒャルト・ゾルゲ ゾルゲは近代でもっとも優秀なスパイの1人とされる。かれはGRU(赤軍参謀本部情報総局)職員となり主に極東で活躍した。 ・日本がイギリスの手薄な地点、シンガポールなどを攻撃することを予想 ・ドイツ大使館にドイツ人として…

『ロシア秘密警察の歴史』リチャード・ディーコン その2 ――秘密警察は人類最古のシステムの1つ

9 アゼフの失脚 オフラナは莫大な資金をつぎ込み対ドイツ諜報活動を行い一定の成果をあげた。しかし同時に、多くの革命主義者がオフラナにまんまと浸透してしまった。 ――とくにボリシェヴィキなどは独自の対情報工作組織を作り上げただけでなく、革命が成功…

『ロシア秘密警察の歴史』リチャード・ディーコン その1 ――秘密警察は人類最古のシステムの1つ

イヴァン雷帝時代から現代までの、ロシア秘密警察の歴史を通観する。 特に、モンゴル統治時代の秘密警察システムがその後のロシアに大きく影響したことが示される。 本書はソ連崩壊直前に出版された。 ◆メモ スパイ活動や組織制度について非常に細かく書かれ…

南北戦争 ――昔の軍隊のようす

最近、南北戦争の通史を読んでいる。Amazon.comでは読みやすいと評判である。 去年訪問した南北戦争関連の遺跡や博物館でも、お土産屋によく並んでいた。 Battle Cry of Freedom: The Civil War Era (Oxford History of the United States) 作者:McPherson, …

歴史の勉強 天皇家

最近、『明仁さん、美智子さん、皇族やめませんか』という本を読み終わった。 著者は共同通信社の記者で、長い間宮内庁の記者クラブで取材を担当していた。かれのような担当記者は、昭和天皇ら皇族とも直接会話する機会があるようだ。 皇族にまつわる様々な…

『本土決戦』土門周平 ――ひのきのぼうや石のオノで米軍を迎え撃つ

海軍・陸軍・米軍、それぞれの本土決戦の実情を浮き彫りにする。 戦争指導者たちは、不可能とわかっていながら形ばかりの準備を進めていた。 *** 沖縄陥落前には、米軍を迎え撃とうにも、未然阻止する策がなかった。 ・本土決戦作戦:「決号作戦」の基本は、…

「1917」を見に行った

◆1917 物語は非常に単純だが面白い。 1917 Wayfaring Stranger Scene (Trailer Song) 下の記事は、平和主義者の戦争映画が主流となっている風潮を紹介するものである。 「1917」、「ダンケルク」では、どちらも敵を倒すことが主眼ではなく、主人公も…

『日本残酷物語 1』その2 ――飢饉から生まれた人食い女

南部藩において、領内で畑を泥棒する者が次々とらえられ、カマスをかぶせられて川に流された。 明治・昭和の飢饉……明治2年の飢饉では外国米を輸入した。このときもたらされた南京袋はその後さまざまな用途に用いられた。 農民は、高値の国産米は売り、自分…

『日本残酷物語 1』その1 ――飢饉から生まれた人食い女

古代から近代までの、歴史の奥に埋もれた貧しい人びとの生活を描く。 ――これは流砂のごとく日本の最底辺にうずもれた人びとの物語である。自然の奇蹟に見放され、体制の幸福にあずかることを知らぬ民衆の生活の記録であり、異常な速度と巨大な社会機構のかも…

電化製品を買った / やまとのくにの精神

◆イヤホン Bluetoothイヤホンを買って使っているが、バッテリーの持ちもよく非常に使いやすい。 買ったときは確か50ドル前後だったが、毎日ジョギング時に使っているので十分元は取ったと考える。 なお、ワイヤレスイヤホンのほとんどはリチウムバッテリー…

回向

緑の 石のように固まった かけらをすくう、 わたしはそれを 投げる。 各々の 鳥の肋骨をもつ 画像が 足に付着する。

『The Bridge on the Drina』Ivo Andric ――ボスニアの一地方をめぐる歴史物語

ボスニア出身の作家アンドリッチの代表作。 『ドリナの橋』という邦訳が出ている。 トルコ、オーストリアと大国に翻弄される人びとの長い歴史を題材にしている。 ja.wikipedia.org 1571年、ヴィシェグラードVisegradを横切るドリナ河に、オスマン帝国の…

『社会契約論』ルソー その2 ――社会契約説の古典を読む

*** 3 政治の法、すなわち政府の形態について ・自由の実現のために力と意志、すなわち「立法権」と「執行権」が不可欠である。立法権は主権者としての人民に属するが、執行権は、主権者の代理・公僕たる政府が担う。 ・執行を担うものが最高行政であり、「…

『社会契約論』ルソー その1 ――社会契約説の古典を読む

副題は「政治的権利の諸原理」。 1762年に出版され、フランス王国、カトリック教会から激しい批判を受けた。 *** ◆所見 人民は自由と平等を確保するために「社会契約」に基づき国家を成立させる。このため国家・政府・統治者の主人は人民でなければなら…

Kindleを買った

電子書籍で勉強しようとおもいKindle paperwhiteを買った。 Kindle Paperwhite 防水機能搭載 Wi-Fi 8GB 広告つき 電子書籍リーダー 発売日: 2018/11/07 メディア: エレクトロニクス 当面は、コンピュータ関係の本、または電子書籍で安く買える戦史・回想録な…

ユートピア計画、就職活動

◆スターリンとヒトラーの夢の土地 今読んでいる『Bloodlands』では、2人の独裁者のユートピア実現の場に供された国々の犠牲が淡々と書かれている。 ドイツ・ソ連によって最大の被害を被ったのは、緩衝地帯の国……ポーランド、ウクライナ、ベラルーシ、バルト…