うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

◆歴史の本

『諜報・工作』ラインハルト・ゲーレン その1 ――軍事情報業務について

◆所見 ドイツ陸軍、のちゲーレン機関、BND(ドイツ連邦情報局)で情報機関の親玉として働いた軍人ラインハルト・ゲーレンの回顧録。 独ソ戦時の、参謀本部における勤務要領や、情報組織の整備、経験談など、興味深い話が多い。 ベルリンは東西冷戦におけ…

『不死身のKGB』ゲヴォルキャン その3 ――秘密警察に支配された国

7 西側へ寝返ったスパイたち 亡命したクジーチキンの手紙。 ――イランにおけるソ連植民地のリーダーや党幹部らが、恥知らずにも私腹を肥やすことに血道を上げる信じがたい光景、ツデー党との汚いやりとり、アフガニスタンでの罪のない人びとの死、それにたと…

『不死身のKGB』ゲヴォルキャン その2 ――秘密警察に支配された国

3 保護も権利もなく ――チェキストは子供のおもちゃなどに関心がないかもしれない。だが彼らはこの国の人間の生命と運命を、どんなときでもつねにおもちゃにしてきた。 ソ連公安機関最大の任務は、体制維持のための内部の敵破壊である。 ――要するにKGBと…

『不死身のKGB』ゲヴォルキャン その1 ――秘密警察に支配された国

エリツィン政権時代に書かれたKGBとその未来に関する本。 著者はモスクワの新聞社「モスコーフスキエ・ノーヴォスチ」に所属するジャーナリストであり、ロシアが変わるとしてもKGBとその体質は残るだろうと予言する。 特にソ連崩壊前後のKGBをめぐ…

『細菌戦争の世紀』トム・マンゴールド その2 ――生物兵器開発と使用の実際

13 ソ連の重要施設……ベルズク、ポクロフ、オムトニンスク、ステフノゴルスク 米英のソ連施設査察と、その妨害について。 米英視察団に対する、ソ連側からの一連の妨害は、亡命科学者ケン・アリベックの『生物兵器』に、ちょうど相手の立場から書かれている…

『細菌戦争の世紀』トム・マンゴールド その1 ――生物兵器開発と使用の実際

◆メモ BBCのドキュメンタリー記者らが書いた生物兵器開発についての本。 特に米ソの軍備管理問題、南アフリカにおける生物兵器使用、イラク・北朝鮮・テロ組織による生物兵器利用について、非常に詳しく知ることができる。 ・生物兵器:核兵器に比べはる…

『Love Thy Neighbor』Peter Maass その2 ――隣人たちが殺し合うボスニアの様子

・若者たちはスルプスカ共和国軍に徴兵される。ここはアメリカではないので、かれらに逃げ道はほぼ残されていない。 ・バニャ・ルカに滞在しながら、著者は、目の前で虐殺と追放が進みながら国際社会が黙殺しているさまを痛感した。 ・当局はモスクを破壊し…

『Love Thy Neighbor』Peter Maass その1 ――隣人たちが殺し合うボスニアの様子

ボスニア戦争の初期に取材した報道記者による報告。 現場で見聞きしたエピソードを通して、戦争によって現れる人間の本性を探る。有名な残虐行為や、後に実際に訴追された戦犯の話題もある。 ◆所見 この現地報告は、サラエボやボスニア各地またクロアチアの…

『沖縄決戦』八原博通 その2 ――沖縄戦担当者の回想

◆所感 自殺? 自決? 戦況悪化につれて八原が仕える参謀長・指揮官は自暴自棄になっていき、最終的に自殺する。 米軍の降伏勧告を無視した後、死ぬまで戦えの命令を出して一足先に自殺するというこの状況を受けて、わたしは責任放棄としか感じない。良い悪い…

『沖縄決戦』八原博通 その1 ――沖縄戦担当者の回想

沖縄戦を担当した第三十二軍の高級参謀による回顧録。 ◆メモ1 ・わかりやすい状況説明と冷静な情勢分析が特徴である。 アメリカにおいて、沖縄戦に関する著作の1つとしてロングセラーとなっているのも納得がいく。 ※ 他に米Amazonでレビュー数が多いのは海…

『The Rise and Fall of the Great Powers』Paul Kennedy その3 ――経済力と軍事力の関係

・同盟と戦争への漂流1899~1914 ビスマルクは、列強に囲まれたドイツが孤立するのを、複雑な同盟関係により予防した。日露戦争の時代には、植民地をめぐる英仏の対立は収束し、かわって、ドイツに対する警戒心が強まった。 英独は建艦競争を巡り対…

『The Rise and Fall of the Great Powers』Paul Kennedy その2 ――経済力と軍事力の関係

3 金融、地政学、そして戦争の勝者1660~1815 17世紀からナポレオン戦争までの特徴……ヨーロッパの多極性の完成、超国家的・宗教的理由から「国益」重視へ。 ・フランスは台頭するが、周辺国に阻止される。 ・イギリス、ロシアの勃興 ・傭兵から常…

『The Rise and Fall of the Great Powers』Paul Kennedy その1 ――経済力と軍事力の関係

『大国の興亡』を読んだ。 近代以降の大国の興亡を、戦略(軍事)と経済の観点からたどり、考察する。歴史を通して、いかに戦費を調達するかが、国家の至上課題だったようだ。 大国(Great Powers, Major Powers)の興亡は、本書の書かれた時点(冷戦末期)…

『江戸の刑罰』石井良助 その2 ――残酷すぎる江戸の牢屋

財産刑……闕所(財産没収)、過料(罰金) 身分系……奴、非人手下(ひにんてか)、一宗構、一派構 ・奴は女性にだけ適用された奴隷のようなものである。 ・心中に失敗したものは非人手下の刑となり、非人身分に落とされた。 ・一宗構、一派構は僧侶の閏刑で、…

『江戸の刑罰』石井良助 その1 ――残酷すぎる江戸の牢屋

江戸時代の訴追の流れ、刑罰、牢獄の様子、人足寄場などを説明する。 実際の事件や記録を紹介しながら江戸の刑法制度を理解することができ、非常に面白い。 戦国時代の影響が強く残る江戸前期には、刑罰は一般予防主義(見せしめ、威嚇主義、見懲主義)色彩…

『陸軍特攻振武寮』林えいだい ――パワハラを受け続けた特攻隊員

生きて還ってきた陸軍特攻隊員を隔離収容し、精神攻撃を加える施設「振武寮」に関する本。 ◆所感 敗戦が近づくにつれて、陳腐化し、単なる消耗品化していった特攻隊員たちの体験に焦点を当てる。 巷で有名な倉澤少佐の振る舞いが具体的に書かれている。 著者…

『キメラ―満州国の肖像』山室信一 その2 ――国民の存在しない国

3 道義立国 1932.3.1 満州国建国宣言 リットン調査団到着以前に建国宣言したことで、日本は中国との対立を深め、国際的に孤立していった。 陸軍は満洲国の正統性を強化するため溥儀を利用した。もともと、宣統帝と陸軍とのつながりは深かった。 溥…

『キメラ―満州国の肖像』山室信一 その1 ――国民の存在しない国

――満州国は今後も世界史の中に残り続けるだろう。日本人が、この歴史をなかったことにすることは不可能である。 キメラ:満州国は、日本の傀儡国家であると同時に、一部の人びとにとっては理想の地でもあった。本書はこの両面について検討する。 文体は仰々…

『終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ』木村元彦 ――敵の敵は善人

コソヴォ紛争終結後、コソヴォにおいて発生したセルビア人の拉致・殺害事件に関する報告。 著者は取材対象とほぼ完全に同化し、国際社会から孤立したセルビア人の窮状を訴える。 ここで指摘されている問題は、国際社会から政治的な「敵」扱いされた集団(セ…

『告白』チャールズ・ジェンキンス ――小学生が夜勤して泥棒(軍人)を警戒する国

米陸軍を脱走して北朝鮮の捕虜となり、その後軟禁生活を強いられたジェンキンス氏の自伝。 北朝鮮での奇怪な生活や、妻となる曽我ひとみさんの話題、日本政府の介入によって脱出するまでを回想する。 ◆メモ:北朝鮮の自己批判教育・日々の反省をする(5省)…

『無人暗殺機 ドローンの誕生』ウィッテル その2 ――戦争形態を変えた無人機の歴史

6 オハイオ州デイトン・ライトパターソン空軍基地には第645航空システム群、通称「ビッグサファリ」が存在する。迅速な調達により兵器を改造する秘密の部隊であり、高級将校でも知らない者が多かった。 ビッグサファリは、空軍が引き継いだプレデターの…

『無人暗殺機 ドローンの誕生』ウィッテル その1  ――戦争形態を変えた無人機の歴史

米軍初の中高度超航続時間無人機であるプレデターについて書いた本。 ――これは、大陸間遠隔操作によって操縦され、地球の反対側にいる人間を殺すために使用された、世界初の武装無人機(無人暗殺機)の物語である。 無人機の本格的な軍事利用はプレデターか…

『特攻体験と戦後』島尾敏雄・吉田満 ――元特攻隊作家同士の対談

震洋特攻隊長だった島尾敏雄と、戦艦大和の沖縄特攻に搭乗し、生き残った吉田満との対談。 両者とも、自身が体験した極限状況を題材におもしろいフィクションを制作している。 2名は、淡々と当時の状況や雰囲気を語る。かれらは特攻作戦の異常性について指…

『Crimea: The Great Crimean War, 1854-1856』Trevor Royle その3 ――ボロボロのイギリス軍

8 ワシントンの混乱、ウィーンの前進 アメリカと英仏連合国は、アメリカのスペイン領キューバ奪取計画をめぐって対立したが、紛争にはいたらなかった。イギリスはアメリカを信用しておらず、クリミア戦争の調停を拒否した。 1854年末から翌年にかけて、…

『Crimea: The Great Crimean War, 1854-1856』Trevor Royle その2 ――ボロボロのイギリス軍

◆メモ 2014年のロシアによる併合で話題になったクリミア半島が、本戦争における激戦地となった。 9 不安な盟友 英軍とフランス軍の指揮統制の問題は最後まで解決されなかった。 ラグラン卿と、フランス陸軍司令官サンタルノーは、共同作戦の指揮権をめ…

『Crimea: The Great Crimean War, 1854-1856』Trevor Royle その1 ――ボロボロのイギリス軍

クリミア戦争は、外交・軍事における多くの惨めな失敗とともに、多くの英雄(ナイチンゲールなど)を生んだ戦争ともいわれる。 ナポレオン戦争から第1次大戦へと通じる総力戦の原点であり、また東方問題は20世紀の戦争に引き継がれていく。 本書ではクリ…

『軍事力と現代外交』ゴードン、クレイグ その3 ――外交は思惑通りにいかない

・外交交渉 交渉には共通の利益と相反する問題とが存在しなければならない。 ただし、政治的パフォーマンスや、情報収集、謀略のために外交的交流を行うこともある。 準備から予備交渉、お互いの妥協点を探る、駆け引き、解決策の追求、合意まで。 革命的・…

『軍事力と現代外交』ゴードン、クレイグ その2 ――外交は思惑通りにいかない

第2次世界大戦から冷戦を経て、ポスト冷戦へ: ・民主主義と全体主義 民主主義国と全体主義国(ドイツ、ソ連、イタリア等)との外交の行き違いについて。 ソ連は当初外交儀礼をまったく無視したために諸外国から警戒された。さらに、民主主義諸国の転覆を目…

『軍事力と現代外交』ゴードン、クレイグ その1 ――外交は思惑通りにいかない

平和を実現するための方策である国際システムと、戦争……国際的な暴力の関係について考える。さらに、外交上の基本となる交渉、国際社会における倫理と道徳についても検討する。 1989年に初版が刊行された。 ◆所感 主にヨーロッパの国際政治をたどりつつ…

『The Bosnia List』Kenan Trebincevic その2 ――拷問殺人を行う隣人たち

・ルカLukaの強制収容所は、現在でも運送集配所として使われていた。 父の部下だった収容所のギャング、ランコRankoは、父と兄の命は助けたが、その他のボスニア人、クロアチア人を拷問・処刑した。看守は、収容された兄弟同士を性行為させた後射殺した。ま…