うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

本を読むのは筋トレ

◆サイバー戦について よく読まれているらしいが、日本語訳がない本 Kingpin: How One Hacker Took Over the Billion-Dollar Cybercrime Underground (English Edition) 作者:Poulsen, Kevin 発売日: 2011/02/22 メディア: Kindle版 CUCKOO'S EGG (English Ed…

『太平洋戦争と新聞』前坂俊之 その2 ――マスメディアと権力との癒着

8 滝川事件と機関説 滝川事件: 1933年、滝川教授の刑法学に対し、「マルクス主義的」であるという言いがかりがつけられ、京大から追放される。 このとき新聞は滝川教授を擁護するものもあったが、「学者は何でも自由というわけではない」と軍部の論調…

『太平洋戦争と新聞』前坂俊之 その1 ――マスメディアと権力との癒着

戦争に関して大手メディアの動きをたどり、その責任の一端を明らかにする。 ◆メモ 新聞は第四の権力と評されるように、世論形成や誘導に絶大な影響力を持つ。 また国民が正しい情報を知ることできるかどうかは、民主主義の根幹にかかわる。 この点で、日中太…

東の軍、西の軍

米陸軍で勤務したコリン・パウエルと、その1世代後にソ連軍で勤務したスヴォーロフの自伝は非常に対称的である。 もちろん、かれらの経験がその軍や国の性質をすべて網羅しているわけではないので、米軍が素晴らしいと言っているわけではない。 ◆米軍 ――フ…

『ウィキリークスの内幕』ダニエル・ドムシャイト-ベルク その2 ――ハッカーたちの内輪もめ

10 アイスランドでの法案成立は失敗した。 ウィキリークスチームは、ホテルの部屋で共同生活をした結果、お互いに我慢がならなくなり仲違いし、著者も、無秩序とゴミ、悪臭に耐えられず帰国した。 11 アサンジの被害妄想が強まっていき、またチーム内で…

『ウィキリークスの内幕』ダニエル・ドムシャイト-ベルグ その1 ――ハッカーたちの内輪もめ

ウィキリークスは、オーストラリア人ジュリアン・アサンジが創設した、匿名により機密情報を公開するウェブサイトである。 ウィキリークス内部でジュリアン・アサンジとともに働いた著者は、アサンジと不和になりチームを追い出され、この暴露本を書いた。 ◆…

『サムソン・オプション』セイモア・ハーシュ その2  ――容認された核開発

10 ・施設……テルノフ空軍基地核兵器貯蔵庫、ハイファ核兵器組み立て工場、再処理施設完成(1965) ・ジェリコミサイル(仏支援) ・イスラエルの核武装と、エジプト(アラブ連合)のソ連からの核兵器供与の懸念 ・イスラエルはIAEAによる査察を拒…

『サムソン・オプション』セイモア・ハーシュ その1 ――容認された核開発

イスラエルが、アメリカ政府の黙認のもと、実質核保有国になった経緯を描く本。 イスラエルでは軍による検閲制度があり、摘発された場合ほぼ確実に入国禁止となるという。 著者のセイモア(シーモア)・ハーシュは、ベトナム戦争におけるソンミ村虐殺事件や…

古い本と新しい本 グーグルと歴史

データを集めて考える、仮説をもとに検証するという学問の基本的な考えは不変である。しかし方法は増えている。 ◆グーグル 『誰もが嘘をついている』は、グーグル検索で抽出された大量のデータをもとに、隠れた事実を指摘する本である。 誰もが嘘をついてい…

『古代ギリシアの歴史』伊藤貞夫 ――ポリス興亡の歴史を知る

主にポリスの興亡を中心に歴史をたどる。 アテネやスパルタ、テーベといった都市国家が政治的独立を保っていた期間はそう長くない。 各ポリスは、それぞれ植民都市を従え、同盟諸国から富を吸収し繁栄を誇ったが、社会変動や国内対立によって疲弊し、また外…

強制志願/ 調和による統制を目指す国

「強制ではない」が「強く推奨する」と指揮官が言ったとき(米軍ジョーク) ◆和の国、令和(Beautiful Harmony)、和諧社会(Harmonious Society) ジャーナリスト、ウォルフレンの本『日本/権力構造の謎』は、1989年に出版されたもので、本書で指摘さ…