うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『The Rise and Fall of the Great Powers』Paul Kennedy その1 ――経済力と軍事力の関係

『大国の興亡』を読んだ。 近代以降の大国の興亡を、戦略(軍事)と経済の観点からたどり、考察する。歴史を通して、いかに戦費を調達するかが、国家の至上課題だったようだ。 大国(Great Powers, Major Powers)の興亡は、本書の書かれた時点(冷戦末期)…

ニーバーを読み始めた

◆シリア関連本 シリア内戦に関する本を2つ読んだ。どちらも現地報告であり、アサド時代の秘密警察支配や、デモ鎮圧と過激化、国外勢力の流入などを記録している。 確認したところWendy Pearlmanの本は日本語訳があるようだが恐ろしく高額である。 We Crosse…

お墓参り

お盆の期間中は無職戦闘員らしく自宅で大人しくしていた。 今年は、運よくまだハリケーンがきていないので、あまりひきこもりすぎないように近所を散歩した。 ◆マキキ墓地 ホノルル・マキキ地区にある日系人墓地であり、日系移民の慰霊碑や、日本海軍軍人の…

『江戸の刑罰』石井良助 その2 ――残酷すぎる江戸の牢屋

財産刑……闕所(財産没収)、過料(罰金) 身分系……奴、非人手下(ひにんてか)、一宗構、一派構 ・奴は女性にだけ適用された奴隷のようなものである。 ・心中に失敗したものは非人手下の刑となり、非人身分に落とされた。 ・一宗構、一派構は僧侶の閏刑で、…

『江戸の刑罰』石井良助 その1 ――残酷すぎる江戸の牢屋

江戸時代の訴追の流れ、刑罰、牢獄の様子、人足寄場などを説明する。 実際の事件や記録を紹介しながら江戸の刑法制度を理解することができ、非常に面白い。 戦国時代の影響が強く残る江戸前期には、刑罰は一般予防主義(見せしめ、威嚇主義、見懲主義)色彩…

南から北 その7 アーリントン、フレデリックスバーグ、海兵隊国立博物館(ヴァージニア州)

◆リッチモンドを出る リッチモンドの街並み ホロコースト博物館を出発し、市内を走行し、宿泊地のアーリントンに向かった。 古い家やビルが残っており、ヴァージニア・コモンウェルス大学(VCU)の施設が広がる地区は学生でにぎわっていた。 リッチモンド リ…

『陸軍特攻振武寮』林えいだい ――パワハラを受け続けた特攻隊員

生きて還ってきた陸軍特攻隊員を隔離収容し、精神攻撃を加える施設「振武寮」に関する本。 ◆所感 敗戦が近づくにつれて、陳腐化し、単なる消耗品化していった特攻隊員たちの体験に焦点を当てる。 巷で有名な倉澤少佐の振る舞いが具体的に書かれている。 著者…

王様とその手下

◆感想――ブッシュ政権に関する本を読んで 司法や行政から反対が出るにも関わらず強引な法解釈を行う、行政府の権限を際限なく拡大していく、多くの活動や意思決定手続きを非公開にし、国民の眼から隠してしまう……こういった手法は似非民主主義国における権力…

『キメラ―満州国の肖像』山室信一 その2 ――国民の存在しない国

3 道義立国 1932.3.1 満州国建国宣言 リットン調査団到着以前に建国宣言したことで、日本は中国との対立を深め、国際的に孤立していった。 陸軍は満洲国の正統性を強化するため溥儀を利用した。もともと、宣統帝と陸軍とのつながりは深かった。 溥…

『キメラ―満州国の肖像』山室信一 その1 ――国民の存在しない国

――満州国は今後も世界史の中に残り続けるだろう。日本人が、この歴史をなかったことにすることは不可能である。 キメラ:満州国は、日本の傀儡国家であると同時に、一部の人びとにとっては理想の地でもあった。本書はこの両面について検討する。 文体は仰々…

『屍鬼二十五話』ソーマデーヴァ ――インドの怪奇枠物語

ソーマデーヴァは11世紀カシミールの作家である。紀元前3世紀ころつくられたグナーディヤによる伝奇集『ブリハット・カター』を元に、枠物語『カター・サリット・サーガラ』を制作した。その中の一部がこの『屍鬼二十五話』である。 『屍鬼二十五話』は、…

友達料

ロバート・ゲーツ国防長官の回想録からのメモ。 アメリカ合衆国はどのような姿勢で外交を行っているのだろうか。日本とはまた異なるようだ。 ◆別荘に招待 プーチンにとって外交や交渉は、自分のための演出の場でしかなかった。 ゲーツとコンドリーザ・ライス…

最大の復讐は敵と同類にならないことである

◆おぞましい皆既日食 タイトルはマルクス・アウレリウス『自省録』からの引用である。 “The best revenge is not to be like your enemy."― Marcus Aurelius, Meditations https://www.goodreads.com/quotes/428368-the-best-revenge-is-not-to-be-like-your…

『終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ』木村元彦 ――敵の敵は善人

コソヴォ紛争終結後、コソヴォにおいて発生したセルビア人の拉致・殺害事件に関する報告。 著者は取材対象とほぼ完全に同化し、国際社会から孤立したセルビア人の窮状を訴える。 ここで指摘されている問題は、国際社会から政治的な「敵」扱いされた集団(セ…

『告白』チャールズ・ジェンキンス ――小学生が夜勤して泥棒(軍人)を警戒する国

米陸軍を脱走して北朝鮮の捕虜となり、その後軟禁生活を強いられたジェンキンス氏の自伝。 北朝鮮での奇怪な生活や、妻となる曽我ひとみさんの話題、日本政府の介入によって脱出するまでを回想する。 ◆メモ:北朝鮮の自己批判教育・日々の反省をする(5省)…