うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『プーチンと甦るロシア』シュテュルマー その2

6 軍 ・ロシア軍は予算不足と練度不足、装備の老朽化に苦しんでいる。 ・2000年の潜水艦クルスク沈没は、ロシア軍の機能不全、政府の危機管理意識の欠如を明らかにした。 ・2000年代から、ロシア軍はハイテク化、精鋭化を目指し改革を進めた。いず…

『プーチンと甦るロシア』シュテュルマー その1

ロシアはいまも国際社会の鍵となる主体である。ロシアがアメリカ、EUと対立するのか、それとも共存していくのか、また中国とどのように関わっていくのかは、(特に本書刊行時点では)まだ明らかではない。 ロシアは問題を多く抱えた国である。外交姿勢はア…

脳的な畑・水資源

◆クロアチア独立国 ワールドカップでクロアチアが脚光を浴びたのを受けて、またバルカン半島の歴史に興味が湧きました。 今読んでいるのは、デイトン合意(ボスニア内戦に関する停戦合意)をまとめたアメリカの役人の著作です。 To End a War: The Conflict …

『その夏の今は・夢の中での日常』島尾敏雄

「出孤島記」 震洋特攻隊長に命じられ、南の島で出撃を待つ青年の精神と、風景を描く。 原子爆弾が落とされ、連合国はポツダム会談を行っており、語り手を含めて、ほとんどの軍人と兵隊は、特攻作戦が無意味であることに気が付いている。 隊長は集落の娘と交…

『パンセ』パスカル

パスカルの残した護教論・エッセイで、広く知られた格言(クレオパトラの鼻云々)が含まれる。 難しい用語が使われているわけではないが、一読して意味がわかりにくい箇所が多い。 わたしが本当に理解できたのはごく一部にすぎない。 特にキリスト教の教義に…

『職業としての政治』ヴェーバー その2

政党の変化について。 イギリス、アメリカを例に政党の変容を説明するが、1918年当時の説明であるため、理解しにくい。 ・名望家たちの政党(名望家たちによる集団指導と、党内での官職任命) ・デマゴーグやカリスマを頂く大衆政党(行政の長となった大…

『職業としての政治』ヴェーバー その1

ドイツ敗戦と革命の最中である1918年に、ミュンヘンで行われた講演を記録したもの。ミュンヘンはドイツ革命の特に激しかった地域であり、ヴェーバーの講演も、革命勢力の台頭を念頭に置いた内容となっている。 ◆所見 特に、以下の点については今でも考察…

『ホメーロスのイーリアス物語』レオニ・ピカード

20世紀のイギリス児童文学作家が、『イーリアス』を子供むけに書き直したもの。 ここ数年、岩波少年文庫を集中的にAmazonで買って、少しずつ読んでいる。人を引き付ける物語がどういうものなのかを知りたかったからである。 トロイア王プリアモスの子パリ…

魚虫の塔

わたしたちの ことばにとりつく 敵は、粉において 兵隊の皮ふを食べる そうして かれらのことばは、もう、うそのことばだ 炭をしきつめた 塔に、夜がやってきた やがて、号令が鳴り、 かれらは絞り出された わたしは、敵が、 エンジンの音をたてて やってく…

『アメリカの秘密戦争』セイモア・ハーシュ その2

4 イラク戦争を主導した「対イラク・タカ派」について。 ネオコンの代表的な論者リチャード・パールは、大統領直属のシンクタンクに所属しイラク戦争を進言したが、自分の経営する投資会社と、軍需産業との関係をメディアに指摘され、公職を辞任した。 その…

『アメリカの秘密戦争』セイモア・ハーシュ その1

副題:9.11からアブグレイブへの道 *** 著者は、まえがきによればボブ・ウッドワードと並ぶ調査報道の第一人者である。 ――わたしは昔ながらの左翼、過激派、人種差別主義者などを取材してまわろうとは思わない……昔気質の善良な民主主義者を取材する。政…