うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『神道入門』井上順孝

神道は日本独自の宗教だが、他宗教と混交し、また日本文化そのものと一体化しているため、定義が難しい。 本書は、組織制度や神社等の「見える神道」と、民間の習俗や思想の「見えない神道」という区分けを利用して、神道について説明する。 特に、現代にお…

『Urban Warfare in Iraq 2003-2006』J.Stevens

イラク戦争における市街戦について簡単に解説する本。 白黒の写真とイラストがついており、市街戦の基礎的な事項が理解できる。1つ1つの項目における説明はあっさりしているが、全体の印象としてはおぞましいゲリラ戦、近接戦闘の風景が浮かび上がる。 ***…

『お寺の収支報告書』橋本英樹

――本書は、仏教界を堕落させているお金や制度の問題について、内側を知る立場から隠すことなく述べ、みなさんといっしょになって考えていただくために書かれました。 現役僧侶が住職の堕落を嘆く本であり、笑える箇所が多々ある。 時代に合わない制度や強欲…

「ダラス・バイヤーズクラブ」

制作:2013年 監督:ジャン=マルク・ヴァレ HIVで余命30日を宣告されたカウボーイが、自分や、同じ病気の人間のために薬を密輸入する。 カウボーイは許認可権を持つ役所に反抗し、未承認薬を販売するが、それは慈善の心に基づくものではない。あく…

『The roots of Blitzkrieg』James S. Corum その2

武器の開発について。 兵器局、各軍種の調査官が核心となって、火砲、小銃、機関銃、通信機器、戦車、毒ガス兵器の改良が行われた。ヴェルサイユ条約で兵器は厳しく制限されていたが、共和国軍は規制をかいくぐり、高水準の兵器の開発に努めた。 ・兵務局T…

単眼とそのネットワーク

細胞だ。 これからは、香辛料のスープと、酵母菌を 食べて、 細胞的に進めていくこと。 各自の足元から、鉄のくぎで 石に穴をあけて、 長い作業が続き 迷路をつくる。 霜をはらって 頭部はあらわれた。 たっぷりと 悲惨の絵の具が 贋物の眼にぬられた。 声を…

『The roots of Blitzkrieg』James S. Corum その1

『電撃戦の起源:ハンス・フォン・ゼークトとドイツの軍事改革』 第2次大戦におけるドイツ軍戦術の起源をたどる本。 ドイツにおける戦略および戦術の発展は、戦間期、主にハンス・フォン・ゼークト将軍によって担われた。 本書はゼークトや無名の将校たちが…

『クルド人 もうひとつの中東問題』川上洋一

クルド人は主にトルコ、イラク、イランの3か国にまたがって居住しており、面積ではフランスに匹敵する。人口は2500万人前後であり、古来から独立闘争をくりかえしてきた。 宗派は7割強がスンニ派で、残りがシーア派、一部だがキリスト教徒やユダヤ教徒…

『Inside the Third Reich』Albert Speer その3

22 下り坂 ヒトラーは現実を受け入れられず、支離滅裂な命令を連発する。前線を観に行こうとせず、空襲被害を視察しようともしなかった。 かれは、いまに勝利するだろう、という妄想にとりつかれていた。 ゲーリングや軍高官、軍需関係の幹部たちは、この…

「セブン」

制作:1995年 監督:デイヴィッド・フィンチャー ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンが猟奇殺人犯を追う映画。先日久しぶりに観た。 七つの大罪になぞらえて殺人を行う犯人に、ブラッド・ピットたちが翻弄される。 映画全体に人間性への疑いが漂っ…

子供幕僚

人の粘土と それらが畝のように 圧縮された道を 花々と霧の道を 子供たちが前進する 標識が 星の数だけ土にささり、 もぐらたちは 眼をこする。 泥をひっかきながら その先に 石の家族が並んでいるにも かかわらず。

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

制作:2000年 監督:ラース・フォン・トリアー 悲惨な生活のなかで唯一のいきがいが、ミュージカルとその空想にひたることである。 大家に裏切られる一方、同僚たちは終始ビョークに対して誠実である。「ドッグヴィル」のような、人間の醜さそのものを描…

『Inside the Third Reich』Albert Speer その2

9 総統官邸での日々 ヒトラーの生活は、やはりスターリンを連想させる。かれの生活は芸術家に近く、毎日、側近とイエスマンを呼びつけて会食を行い、とりとめのない話をした。深夜はシュペーアやボルマンら一部の人間と映画鑑賞を行った。 ゲーリング、ゲッ…

『Inside the Third Reich』Albert Speer その1

ヒトラー政権のもとで軍需相を努め、戦後懲役刑を受けた建築家の自伝。かれは芸術家として異例の待遇を受け、その恩恵を受けつつ間近でヒトラーを観察する機会を得た。 子供時代からの半生が書かれているが、調子は落ち着いており、随所に建築や装飾への言及…

『福島第一原発 真相と展望』アーニー・ガンダーセン

元原発技術者が福島第一原発の状況について説明する本。 著者は大学で原子力工学を学び原子炉設計に携わっていたが、炉の欠陥を訴える内部告発をきっかけに追放され、以後、原発廃止論者となった。 インタビューを並べたもので構成は漫然としているが、原子…