うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015-01-14から1日間の記事一覧

のっぺりしたもののうごき(2011)

もう長いことつかっているので、洗濯のりが はがれおちた この布はやわらかく なった くしゃくしゃにしても、繊維の 網がずれる音が聴こえない わたしたちは昆虫じみた姿勢で 這いつくばって、円状になって耳を すます やはり布の音はしなかった からだの、…

『ルター』(世界の名著)

教皇派、すなわちローマ・カトリックがキリストの本義からはずれてしまっているとして批判したパンフレットなど、代表的な文章を集めた本。 キリスト者は地上の王国をつくるべきではない、よって教皇のように財産をかき集め、領邦国家と対立するべきではない…

『In the country of the last things』Paul Auster

ある女はむかしの恋人に手紙を書いている。女は兄を探して「最後の国」にやってきた。そのまま出られなくなった。その国の状況を、女は細かく報告してくれる。 奈落の底のような、現世のむなしさを煮詰めたような町で、人びとは絶望にうちひしがれて生活して…

『クワイン』丹治信春

名前は前から知っていた言語哲学の人間の考えをわかりやすく説明する本。 クワインは、主にカルナップの影響を受けて自分の考えを変化させていったが、やがて「自然主義的な人間観」という基盤のもとに、人間の認識や、言語の使い方についての解釈を発展させ…

『北条早雲とその一族』黒田基樹

北条早雲、氏綱、氏康、氏政など、北条家とその妻子、家族についての研究を集積した本。おそらく研究者むけで、延々と妻子の出自や詳細をならべられてもわからなかった。 早雲、すなわち伊勢宗瑞が下剋上で成り上がった下層民ではなく、もとは今川氏の家臣で…