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the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『法華経を読む』鎌田茂雄

 法華経の各巻を解説する。聞いたことのある熟語や、たとえ話(増上慢)等も紹介されており、参考になる。

 

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 法華経の成立・構成

 1世紀にインドで成立後、5世紀、天台大師智顗が「法華経」に基づいて天台宗を成立させた。その後、伝教大師最澄によって日本に伝えられ、比叡山天台宗が開かれた。

 法然親鸞道元日蓮などは皆比叡山出身である。よって、「法華経」は日本仏教の起源ともいえる。

 日本で特に重用されたのが鳩摩羅什による漢訳である。

 法華経は1世紀頃編纂された。「妙法蓮華経」、つまり、正しい教えの白蓮の意味である。

 法華経には諸法実相……ものの本当の姿を表すという教えが込められている。また、衆生を救済するという大乗思想が見られる。

 28品からなり、教学では迹門と本門に分類される。

 法華経の教えは、日蓮によれば次の2点である。

 

・声聞乗(仏陀の説法を聞いて覚った人びと)、縁覚乗(独学で覚った人びと)、どちらも仏になれる。

・久遠実成(くおんじつじょう)……本当の仏は永劫不滅であり、時空を超越している。

 

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 個別の巻(品)ごとに解説が行われる。内容は繰り返しが多い。大乗を重視する。

 

・仏の存在は不滅である。

・自分で覚っただけではいけない、『法華経』の教えを受け入れた者がもっともよく成仏できる。

・ただ自分が悟りを開くだけではいけない、他人に広めていかなければならない。

・理解しないもの、悪人、不信仰者も、救済されることが可能である。かれらを誹謗中傷してはいけない。

・『法華経』を理解する域に達していないものも多くいる。こういう者には、仮の教えや、たとえを方便として使い、導くべきである。

 

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 ◆メモ

・第2章・方便品に、有名な増上慢の場面がある。「罪深く、しかも自分は悟りを開いたという慢心をもっていた」5000人の比丘、比丘尼が、もはや説法を聞く必要はないといって退場した。

・仏の教えは実行しなければ意味がない。

・「三界は安きこと無く、猶、火宅の如し」(比喩品)。

・たとえ話において、富と財産は仏の教えを示し、便所掃除や賤しい身分は、汚濁にまみれていることを示す。当時の価値観を反映するたとえである

・大心とは大いなる志であり、仏になろうとする志である。

・四苦八苦……四苦は生・老・病・死のこと。八苦はさらに怨憎会苦、愛別離苦、求不得苦(物欲)、五蘊盛句(性欲)を加えたもの。

・無学とは、『法華経』では学ぶべきものなし、という最高の位を意味する。

提婆達多品:悪人と女人も成仏ができる。『法華経』の時代には、女性は男性に及ばず、しかも罪深い存在であるとされていた。男女、畜生、老若に拘わらず、真剣に道を求めた者のみが成仏できるという。

 

 ――『法華経』を信じていない人でも、『法華経』を信ずることができるような本性をそなえているのである。『法華経』を非難する人でも、その人を憎んだり軽蔑したりしてはならない。

 

・常不軽菩薩は、どんな職業の人でも尊敬を忘れず、相手に対して礼拝をおこなった。なぜなら、どんな人でも仏になれる本性を持っているからである。

三毒:むさぼり(欲)、いかり、愚かさ

・両腕を焼く、自分の身体を焼くことで仏に至ろうとする方法がある。

 

鬼子母神の由来:

 鬼子母とは、他人の子供を食べる鬼女のこと。仏は鬼子母を戒めるため、その子供の1人を隠した。

 

 ――「500人の子供のなかの1人ですらお前はこのように悲しむ。お前に食われる子の親の胸中は、どんなに悲しいことか」と諭されたのであった。鬼子母はやっとわが身につまされて、……それ以後は仏の教えに帰依したのであった。

 

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 ◆所見

 著者は日蓮の著作や言葉を頻繁に引用しているため、日蓮宗徒かと思ったがそうではないようだ。法華経の成立に関わった人物は鳩摩羅什、智顗等様々であるため、日蓮に重きを置く本書以外の解釈もあると思われる。

 

法華経を読む (講談社学術文庫)

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