うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

今年読んだ本についてと、散歩

 2017年が終わるので、今年読んで面白かった本を、思いついた順に並べていきます。

 今月から国外にいるので、こちらではまだ大晦日です。

 

 ◆おもしろかった本

・『The Rise and Fall of the Great Powers』Paul Kennedy

The Rise and Fall of the Great Powers

The Rise and Fall of the Great Powers

 

 『大国の興亡』という翻訳があり、80年代に書かれた軍事史・国際関係史に関する本。

 将来、国際政治を動かすことになる大国の1つとして、著者は日本を挙げているが、現実は著者の予想を尽く裏切る方向に進んでいった。

 

・『海上護衛戦』大井篤

海上護衛戦 (角川文庫)

海上護衛戦 (角川文庫)

 

 担当者自ら「人災」と切り捨てる太平洋戦争の海上交通輸送戦略について。

 指導者の育成……責任回避能力を磨こう……困ったときは国難だ、責任は1億人全員に懺悔させて取らせよう。

 

・『By Trust Betrayed』Gallagher

By Trust Betrayed: Patients, Physicians, and the License to Kill in the Third Reich

By Trust Betrayed: Patients, Physicians, and the License to Kill in the Third Reich

 

 ナチスのT4作戦(障害者安楽死作戦)に関する本。障害者や重病患者に対する安楽死措置は、ナチスの政権奪取以前から提唱されており、当時の医学界では広く受け入れられていた考えだった。

 

・『Into That Darkness』Gitta Sereny

Into That Darkness: An Examination of Conscience

Into That Darkness: An Examination of Conscience

 

 絶滅収容所の所長となったオーストリア人警察官との対話。

 だれが絶滅収容所の責任者・ジェノサイドの加担者になるのか……残虐な人物・犯罪者気質の人物ではなく(そういう人間もいるが)、「並外れて立派な信念は持たない、普通の人間」である。

 

・『沖縄決戦』八原博通

沖縄決戦 - 高級参謀の手記 (中公文庫プレミアム)

沖縄決戦 - 高級参謀の手記 (中公文庫プレミアム)

 

 沖縄戦を戦った高級参謀が戦闘の経過を解説したもので、非常にわかりやすく書かれている。

 無職同士でこの本について話したときの話題……

 八原氏は沖縄赴任前に別の任地で上官ともめたため左遷された。

 長参謀長は威勢はいいが言葉が軽く、南京攻略戦のときに捕虜の取り扱いについて質問され「やっちまえ」と回答をした。

 当時の日本陸軍に持久戦という思想が存在したのか? 軍首脳はあくまで攻勢のための一時待機という考えしか持っていなかった。それは今の日本のボーイスカウトも同様である。

 これはクラウゼヴィッツから続く教義であるというので『On War』を読み始めたらその通りで、「ひたすら防御することは自滅でしかない、機を見て攻勢に転じなければならない」とあった。

 沖縄戦途中での無意味な突撃や、本土決戦での万歳突撃戦略はこの攻勢主義に基づくという。

 

・『The Bosnia List』Kenan Trebincevic

The Bosnia List: A Memoir of War, Exile, and Return

The Bosnia List: A Memoir of War, Exile, and Return

 

 ボスニアスルプスカ共和国との国境にある町で育った人物の回想。

 内戦によって人間の負の部分が噴出し、殺人・拷問・追放が始まる。

 

・『シベリア出兵』麻田雅文

 戦争から撤退するのは非常に難しい。

 

・『America's War for the Greater Middle East』Andrew Bacevich

America's War for the Greater Middle East: A Military History

America's War for the Greater Middle East: A Military History

 

 Amazonでもよく売れているらしい元陸軍大佐による中東軍事介入史。自ら種をまき続けて泥沼から抜け出せない米軍=米国の歴史をたどる。

 このような本を書く人物が陸軍士官学校で講話できるというアメリカは、不思議な国である。

 

・『ふしぎな部落問題』角岡伸彦

ふしぎな部落問題 (ちくま新書)

ふしぎな部落問題 (ちくま新書)

 

 部落問題についての分かりやすい本をいくつか出している。

 

 ――しかし私は橋下氏に問いたい。では、日本で最も血脈主義が貫徹されている天皇制はどうなんですか? と。私が言いたいのは、日本社会では、よくも悪くも血脈が大きな意味を持ち、だからこそ天皇制と部落差別が残ったのではないか、ということである。

 ――意識するしないにかかわらず、私たちは血縁信仰の中で生きているのである。

 

 奨学金説明会で部落民であることを知らされた高校生の話。


 ――はあ? と思って。ぼくはそれまで部落民と障害者と朝鮮人は嫌いやったんです。差別する側、差別者だったんです。

 

・『The Nemesis of power』Sir John Wheeler-bennett

The Nemesis of Power: The German Army in Politics 1918-1945

The Nemesis of Power: The German Army in Politics 1918-1945

 

 ドイツ陸軍がヒトラーによって掌握され、また高官たちが自発的に服従していく過程を記録した本。現在のウィキペディアの記述なども大部分がこの本由来ではないか(著者は同時代の人物で、刊行は50年代前半)。

 

・『太平洋戦争と新聞』前坂俊之

太平洋戦争と新聞 (講談社学術文庫)

太平洋戦争と新聞 (講談社学術文庫)

 

 ――その将校はいきなり、右手を高くあげ天井を見ながら、大声で『国賊朝日をやっつけるのだ』とどなった。

 

 二・二六事件の項で、やたらと既視感のある台詞が飛び出したので笑った。

 

・『リトビネンコ暗殺』ゴールドファーブ

リトビネンコ暗殺

リトビネンコ暗殺

 

 権力の座に就く前のプーチンの様子を垣間見ることができる。

 民主主義を自ら捨てていく市民とはどういうものなのか。

 

 ――……プーチンの好戦的なイメージは、1999年にかれの選挙運動員が積極的に宣伝したものだ。それは大半のロシア人のムードと共鳴した。冷戦で傷ついた国家のプライド、調和と安定をもたらす強引な手腕へのあこがれ、ひとにぎりの大富豪と、貧困にあえぐ大半の国民との格差に対する怒り。それらすべてが、禁欲的、内省的で冷徹なその小柄な男、あらゆる困難を乗り切って勝っていくしぶとい戦士を応援する理由になった。国民にとって、プーチンは鬱憤を晴らしてくれる、待ちに待った人物だった。

 

・『サムソン・オプション』セイモア・ハーシュ

サムソン・オプション

サムソン・オプション

 

 イスラエル核武装過程を取材を通じて明らかにする本。

 「サムソン・オプション」とは……

 

 ――サムソンは旧約聖書土師記の英雄。血みどろの闘いの跡、遊女デリラにだまされてペリシテ人に捕えられ、眼をえぐりだされて、ガザのダゴン神殿で見世物にされた。しかし、最後にもう一度、怪力を取り戻させてくださいと神に祈った。そして「わたしの命はペリシテ人とともに絶えればよい」と叫ぶや、神殿の柱を押し倒した。神殿は崩れ、サムソンは数多くの敵を道連れに死んだ。核武装推進派にとっては、サムソン・オプションとはマサダの悲劇を「二度とふたたび繰り返さない」ことであった。

 

 イスラエルは建国当初からアメリカに執拗に歩み寄り武器供与を求めた。その後、フランスや南アフリカの協力により、秘密裡に核開発を進めた。イスラエルはアメリカや国連の勧告・査察要求を無視し続け、核の運搬能力を獲得した。

 アメリカが見て見ぬふりをした理由……国内におけるユダヤ・ロビイの政治的圧力、「核拡散防止」に向けて実績をあげたい政治家たちの意図的無視、アウシュヴィッツの罪悪感

 イスラエルの核ミサイルは常にソ連核都市に向けられていた。

 では北朝鮮はいま、どこから秘密の協力を受け、開発を黙認されているのだろうか?

 

 

 ◆散歩

 ふらふらと散歩していると飛行場で真珠湾攻撃追悼式典が行われていました。

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 当時の生存者たちも出席されており、戦闘機がやってきて機銃掃射をしたときの様子などが説明されました。

 実際にその場に参加してみると、ここでアメリカ人の庁舎を破壊し、兵隊を殺害したのは「おまえたち」だと強く意識させられ、非常に複雑な気分になりました。

 その後、別の場所で話した日系の退役米軍人は、「自分は気分が悪くなるからアンナ行事(真珠湾追悼式典)は1回も出たことない」とコメントしました。

 日本人か日系人かでも受け止め方は変わり、その中でも個人によって感じ方はそれぞれ違うようです。

 

 滞在先の国では軍が非常に大きな存在であり、社会全体が軍を優遇するようにできています。

 確かに建国過程や第2次大戦を考えれば軍が果たした役割は非常に大きく、納得はできます(とはいえベトナム戦争以降、国内にも迷惑をかけ続けている気もしますが)。

 日本は歴史的経緯から軍をあまり尊重しませんが私はそれは当然だと考えます。逆にあれだけやらかしてまだ優遇していたらその方がおかしいのではないでしょうか。

 今後、ピント外れのオモチャを買って気が大きくなった人びとがゲーム感覚で軍を祭り上げないといいですが。

 

 

 ◆ブラジリアン柔術ムエタイ

 ようやく格闘技を再開する環境になったので、ジムに通い始めています。特にブラジリアン柔術はいままでMMAクラスで基本動作を習っただけだったので、ギを着てやるのは初めてでとても楽しいです。

 目標は筋肉強化、柔術練習、ムエタイ再練習とたくさんあります。

 

 

 ◆サーフィン? SUP? ダイビング?

 2018年は老化にめげずマリンスポーツに挑戦していきたいです。

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