うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

スパイマスターの歴史

 はりがねを巻くには、
 夜、窓が沼のなかに
 沈んでいき
 金色の砂嵐が
 わたしたちの
 幕舎におおいかぶさるのを
 時計で、きっちりと
 記録しておくようにと
 であれば
 きまりを守ること。

 
 わたしは
 多肉植物を食べすぎた。
 夏のあいだも
 装置にもぐりこみ
 夢を見すぎた。

 
 なくなったものは、他人のもので
 あっても、取り戻せない。

 
 受話器を置いた
 そのとき
 労働係の影が
 ふわふわとふくらみ
 一面の壁に塗りたくられる。

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