古い本だが『江戸の刑罰』(石井良助)を読んでいたところ、牢屋敷における慣習のあまりの理不尽さに笑ってしまった。
牢内では、牢名主の指揮のもと、人口調節のために囚人を殺すことがあった。
――入牢者が多いと、一畳に9人も10人も並んで、文字どおり鮨詰めになって身動きができなくなり、立膝のままで昼夜暮らさなければならなくなることがある。
――これは名主の承諾を得て、二番役の者が中座の者と協議し、3日目おきぐらいに、3人5人ずつを囚人の中から選んで、キメ板責め、陰嚢蹴りで殺すのである。
医者は検死にやってくると「いかにも病死」といって、牢内役人(牢名主など、役職持ちの囚人)から賄賂を受け取る。
江戸の牢屋敷は刑務所ではなく未決監である。よって、現代の観点からいえば、かれらは皆、罪の確定していない人間である。そうした沙汰を待つ人間であっても、まずは牢内で生き延びなければならなかった。
刑務所や処刑をめぐる社会については、『大江戸死体考』(氏家幹人)もおもしろい。江戸時代における変死体の取り扱いや、「様斬(ためしぎり)」専門の武家である山田浅右衛門について詳しい紹介がある。
増補 大江戸死体考: 人斬り浅右衛門の時代 (平凡社ライブラリー)
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関連して、弾左衛門について興味を持ったので今後読んでいきたい。
※ 参考