茶道における美とは何かという原理を考える本。
冒頭から床の間や内装の細かい美的感覚についての薀蓄が始まる。大まかな歴史に沿って説明されてはいるが、茶道知識のまったくない人間には大変読みにくい。
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床の間、土壁、茶器を手に取ったときの感触、インテリアの美意識について。こうした美的な基準は、同朋衆と呼ばれる茶道の担い手たちが定め、時代とともに変遷していった。
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茶器には中国伝来、高麗伝来、国産といくつか種類があり、それぞれが、その時代の美的感覚に基づいている。
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中国からやってきた喫茶の伝統を国内で普及させたのは禅僧だった。平安時代には貴族たちが社交として喫茶を楽しんだ。やがて、茶道の担い手は武士や商人となった。室町時代には、乱世のなか貴族や新興武士たちが茶を行った。
信長は外交手段として茶を用いた。茶道では、身分の上下に関係なく交流が行われる。かれは商人たちに茶器を与え、また商人や諸国の大名も茶道具を献上した。茶を通して交流を行い、領国経営を円滑にした。
明治維新のとき、一時茶道は顧みられなくなったが、新政府の首脳や実業家たちが再び茶道や茶道具を取り上げるようになった。
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お点前、その他の細かいしきたりについて。
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茶の美は時代によって移り変わる。