うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

黄道と水の道

 作業員たちの

 人体としてのまとまりがほどけて

 輪郭は溶けだし

 月を指し示す姿だけが

 残された。

 それら、失われた歯形のような

 人間たちの成分は

 水の道を探した。

 

 表皮は、分裂した金星の

 姿を映し出す。

 かれらの肉と骨、炭素は、水のなかで

 ぼろぼろと崩れていき

 アスターの花になる。

 

 波は草をつかまえる。

 水の道において。

 名前がはがれたあとも、

 腐敗臭に鼻をつまむ。

 かれらは何者でもなかった。

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