制作:2014年
監督:ウェス・アンダーソン
架空の国にあるホテルのコンシェルジュが主人公の映画。こっけいで非現実的な登場人物が登場し、殺された老女の遺産をめぐって事件が進む。
人物たちのやりとりや動きに、笑える箇所がある。
平面図を意識した映像や、美術、舞台セットがすばらしい。各章のタイトルや平面的な構図はパラジャーノフを連想した。
戦争への批判と、古いヨーロッパに対する思い入れが映画全体に感じられる。
エドワード・ノートン演じる軍人たちには人間味があり、軍装も第1次大戦初期までのピッケルハウベである。
しかし、ホテルを占領した軍は親衛隊風のシンボルをあしらっており、かれらは非人間的な暗殺部隊として描かれる。
「かれの世界」とは、戦争と社会の変化によって失われた世界を指していると考えた。