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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『Inside the Third Reich』Albert Speer その3

本メモ ◆歴史の本

 22 下り坂

 ヒトラーは現実を受け入れられず、支離滅裂な命令を連発する。前線を観に行こうとせず、空襲被害を視察しようともしなかった。

 かれは、いまに勝利するだろう、という妄想にとりつかれていた。

 ゲーリングや軍高官、軍需関係の幹部たちは、この時点で敗北を覚悟していたとシュペーアは書いている。

 重要なのは、なぜ暴走する指揮官に司令部が黙々と従うことができたかである。彼によれば、ヒトラーが指示を出すことで、司令部の参謀たちは決断する責任から逃れることができたのだという。

 自分が前線で直接血を流すのでなければ、どれだけヒトラーが愚かな指示を出そうと、責任は自分には降りかかってこない。

 1944年に入ってもヒトラーとその周辺状況は改善せず、破局が近づいていた。

 ヒトラーは陸軍に支離滅裂な命令を出し、物資が不足しているというシュペーアらの申し立ては無視された。ボルマンは自分の権限拡大に精を出すだけだった。

 

 3部

 23 病気

 シュペーアの入院と、医者を差し出してかれを監視・軟禁するヒムラー、相変わらずのボルマンとの権力争いが続く。

 

 24 3度負けた戦争

 25 失敗、秘密兵器、そしてSS

 兵器運用について。

 ヒトラーは数々の思い込みにより兵器開発を台無しにした。その例としては、原爆やミサイルへの無関心、Me262戦闘機を爆撃機に改造するという誤った信念があげられている。

 ペーネミュンデにおいてフォン・ブラウンらはロケット開発に取り組んだが、これをヒトラーに説得し援助したのがシュペーアだった。戦争全体から見た場合、ロケット、後のV2開発に資源を注入したことは失敗だったと断定されている。このために地対空ミサイルの開発がおろそかになり、空襲を防ぐ機会を喪失したからである。

 アウシュビッツの存在については、大管区指導者の友人から間接的にほのめかされただけだと記している。この箇所が最も疑惑を受けた部分で、シュペーアが実は絶滅収容所の詳細を知っていたのかそうでないのかははっきりしていない。

 

 26 オペレーション・ワルキューレ

 シュタウフェンベルクら軍高官によるヒトラー暗殺が実行されたが、失敗した。シュペーアはクーデター内閣の軍需相候補にされていたため、当初疑いを受けた。

 以後、ヒトラーは軍を信頼せず、多数の叛乱者を処刑し、また前線の指揮官を解任した。

 

 27 西からの波

 28 突入

 連合軍に上陸され、ヒトラーは徐々に追い詰められていく。焦土作戦が検討され、またゲッベルスは秘密兵器の噂を意図的に流し、国民に希望を植え付けようとする。

 

 29 破滅

 焦土作戦と住民の強制避難等、引き続きヒトラーの荒唐無稽な命令が続く。

 シュペーアは、総統の大本営に毒ガスをまけないかを検討したが、換気口を改良されてあきらめた。この一節には関連する人物がほとんど存在せず、本当に企画したのか、後からアリバイをつくったのかは不明である。

 

 30 ヒトラー最後通牒

 1945年3月の出来事。シュペーアが西ドイツ視察にいったところ、田舎の交差路でぽつんと立っている1人の兵隊がいた。何をしているのか尋ねると、アメリカ軍を地獄に送る、と答えた。

 田舎では16歳前後の少年と中年男性が突撃隊の制服を着て最終決戦に備えていた。しかしかれらには武器がなかった。

 チューリンゲンの指導者ザウケルは、「最後の戦いに臨め」との命令を残し、車で逃亡した。

 

 31 13時間

 32 殲滅

 ヒトラーは力を失い、手はけいれんし、食べかすが服についていた。存在しない部隊や飛行機を指揮する姿が哀れなので、取り巻きは何も言うことができなかった。

 周囲の人間も以前ほどヒトラーを畏怖することがなくなり、不服従が目立った。ゲーリングはある晩、ヒトラーに最後のあいさつをしてベルリンから避難していった。

 シュペーア焦土作戦を阻止した。ベルリン警備を担当する指揮官も、徹底抗戦の命令を無視した。

 ヒトラーは自殺し、デーニッツが後継者に指名された。

 

 エピローグ

 33 投獄の基地

 ヒムラーは「連合国はわたしを警察担当として必要とするだろう」という妄想にひたっていた。間もなく親衛隊は消滅し、幹部たちは制服を捨てて民間人に成りすました。

 

 34 ニュルンベルク

 35 結論

 連合国に捕まってから判決を受けるまでの様子について。

 ニュルンベルク裁判の対象となった幹部たちは、一様に絶滅政策を非難したが、自己の責任については否定した。

 シュペーアのまとめは、技術の発展が人間を豊かにするとは限らない、というどこかで聞いたような種類のものである。かれの言うとおり、通信その他の技術がなければ、全体主義的な体制や、情報統制を敷くことはできない。

 しかし、ナチス・ドイツ成立に直接加担したのは、技術文明の発達ではなく指導者たちと国民である。

 

 ◆メモ

 地下に閉じこもるヒトラーと側近たちの様子は、これでは国が消滅するのも当然だという印象を与える。

 シュペーアの弁明について……当事者の「知らなかった」をすべて信用することはできない。直接加担してはいないが、見て見ぬふりをしたのではないだろうか。それは、ある程度高い役職についていた者全員にあてはまるのかもしれない。

Inside the Third Reich

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