うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『Inside the Third Reich』Albert Speer その2

 9 総統官邸での日々

 ヒトラーの生活は、やはりスターリンを連想させる。かれの生活は芸術家に近く、毎日、側近とイエスマンを呼びつけて会食を行い、とりとめのない話をした。深夜はシュペーアやボルマンら一部の人間と映画鑑賞を行った。

 ゲーリングゲッベルス、ボルマン、ヒムラーらは、互いに政敵の悪口や悪評をヒトラーに吹き込んだ。

 ヒトラーは特に確認もせずにこうした讒言を信じるため、知らず知らずのうちに人物の評価が決まっていった。

 ロベルト・ライは、アドルフ・ヒトラー学校という、洗脳的幼年学校のような代物をつくったが、ナチ党幹部でさえ、自分たちの子供をそこに入れたがらなかった。ゲッベルスは子供たちを絶対にヒトラー学校に入れさせず、ボルマンは懲罰のために息子を1人、入学させた。

 ヒトラーは上流階級の人間、専門職の人間、女性に対して引け目を感じていたようだと書かれている。

 

 10 わたしたちの帝国様式

 ベルリン建築計画と、ヒトラー側近たちのだらしない女性問題について。

 

 11 地球

 「地球」とは、ヒトラーがベルリン大会堂の屋上につけようとした装飾を指す。鷲が掌握するのは、ハーケンクロイツではなく地球になるはずだった。

 第三帝国の様式は、いつの間にかドーリア式から変質し、セシル・B・デミルの映画に出てくる独裁者様式のものになっていた。

 

 12 転落が始まる

 ポーランド侵攻と同時にイギリスが宣戦布告したとき、ヒトラーはショックを受けていた。かれは現実を正しく認識せず、「他国は宥和政策を続けて戦争をしようとしないだろう」という自分の妄想の中に籠っていた。

 パリ占領後の観光について。

 

 13 行き過ぎ

 ヘスの亡命について。

 1941年に独ソ戦が始まった。シュペーアヒトラーに命じられ、党の施設や軍事施設の建設を命じられた。

 

 2部

 14 新しい職場

 1942年、軍需相トットが航空機墜落で死亡し、シュペーアヒトラーによって後任に指名された。シュペーアは建築家に過ぎなかったが、ヒトラーは素人をよく閣僚に取り立てていた。かれはヒトラーの強力な支援によって、ゲーリングの四か年計画に対抗した。

 回想では、自分の本分はあくまで建築であり、軍需相は戦時中の付加職務に過ぎなかったと述べている。

 

 15 組織的即興

 16 省略の罪

 

 17 司令官ヒトラー

 軍需大臣になってからのシュペーアの回想。

 各機関の二重、三重行政と、ナチ党幹部らの勢力争いのため、最後まで経済が効率化されることはなかった。ピーク時の生産量も、第1次世界大戦に全く届かなかった。シュペーアは自分の権限が許す範囲で効率化、能率化に努めるが、破局は避けられなかった。

 ヒトラーは専門的知識がなく、素人に采配を任せ、また原子力研究をユダヤ人の学問ととらえて重視しなかった。著者はペーネミュンデにおけるロケット開発施設や、原子爆弾研究施設の建設にも関わっているが、ヒトラーの方針では原爆開発は不可能だということを悟っていた。

 無意味で長いだけの作戦会議の風景について。戦争指導者が伍長であることは、民間人であることよりもマイナスだ、とある陸軍の将官が言った。

 

 18 陰謀

 ヒトラーの失策によりスターリングラードのドイツ軍が包囲殲滅されている間、国家指導者たちは贅沢な生活と勢力争いに精を出していた。

 ゲーリングや大管区指導者は都会の生活を満喫し、ボルマン、カイテル、ラマーズらは自分の権力を伸長させようと奮闘した。ゲッベルスは、ゲーリングを中心に反ボルマンの同盟を組もうとするが失敗する。ゲーリングはボルマンから多額の金銭を受け取っていたからだ。

 シュペーアヒトラーを取り巻く幹部たちの争いを細かく書いているが、自分自身もすっかり党内政治に染まっていたと回想する。

 

 19 国家第2の人物

 ボルマンがヒトラーからあらゆる幹部を遠ざけようと画策する一方、シュペーアデーニッツらは計画経済の方面で大きな権限を手に入れた。この過程でゲーリングの影響力は減少した。

 

 20 爆弾

 ドイツ空軍はイギリス本土の英空軍爆撃計画を立案したが、ヒトラーにつぶされた。ヒトラーはロンドン空爆を主張したため、英国の航空戦力に打撃を与える機会を失った。また、連合軍の軍需工場爆撃によりドイツ軍の補給はさらに脆弱になった。

 各大管区指導者(ガウライター)たちは自分の平穏な生活を守るため、軍需工場が自分たちの担当する地域に疎開してくるのを阻止した。

 

 21 1943年秋のヒトラー

 独ソ戦の旗色が悪くなり、アフリカでドイツ軍が駆逐され、大西洋からUボートが撤退した。失敗と敗北が重なるにつれて、ヒトラーの人格が不安定になっていく様子が描かれる。

 

[つづく]

Inside the Third Reich

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