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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『金正日の料理人』藤本建二

 つい最近も訪朝しメディアに登場した著者の本。


 著者は寿司職人として北朝鮮に呼ばれ、金正日に気に入られて専属料理人として働いた。

 金正日と幹部らの生活はアラビアの君主を思わせる。かれらは毎日ぜいたくな料理を食べ、スポーツカー、バイクを乗り回し、乗馬、ボート、プール、映画鑑賞を楽しむ。

 ぜいたく三昧をする一方で、国民のほとんどは高等教育を受けられず、一生野外でスコップを振るだけである。多くの者は車を持っていないので、高速道路を歩く。

 北朝鮮の監視制度は厳しく、寿司職人は電話を常に盗聴されていた。また、日本に帰ってからの行動もすべて記録され、何をしゃべったかも筒抜けだった。

 著者は特に思想を持たない人間で、専制君主に仕えながら自分もぜいたくの分け前にあずかっていた。しかし、一方で厳しく監視され、移動や発言の自由を制限されていることに嫌気がさし、あるとき日本に帰国しそれ以降北朝鮮に戻らなかった。

 金正男金正恩金正哲らも登場するが、かれらは「王子」と呼ばれている。昔ながらの王国が今でも残っているという点が驚きである。

金正日の料理人 扶桑社文庫

金正日の料理人 扶桑社文庫