うちゅうてきなとりで

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『英米法総論』田中英夫 その4

 7 法の実現方法

 総説

 英米法とくにアメリカでは、「民事上の救済もまた法の目的とするところの実現の手段であるということを強調し、民事上の救済手段にも、法違反に対する制裁、法違反の抑止という機能を積極的に期待する」。

 同様に法の実現においては私人の役割が強調される。私人による民事訴訟、公的訴訟等。

 

 ――英米法は、このように、私人が訴訟を通して法の実現に参与することをエンカレッジする立場をとっているが、そのことは、権利の実現は常に裁判を通じて行われるべきであるということを意味するものではない。それとは逆に、英米法は、自力救済を認めるのを原則としており、正当防衛も広い範囲で認めているのである。

 

 自力による権利の実現

 自力による土地の占有回復、動産の自力による取戻し、動産差押え、生活妨害の自力除去abatement of nuisance

 正当防衛の日本との違い……相手が致死の力deadly forceを使ったときはこちらも使ってよい。住居の防衛はほかに手段がなければ致死力を用いてよい。権利を侵害された方には退避retreatの義務はなく、不法者には義務がある。致死力の利用の基準は州ごとに違いがある。

 金銭賠償

 ドイツ法と異なり、金銭賠償で救済として十分である場合は損害賠償のみを認める立場をとる。金銭賠償を補う手段として特定的救済がとられ、たとえば契約履行、差止、文書改定命令といった手段がある。

 (権利の確認)

 人身保護及び公権力の行使に対する救済

 Habeas Corpusは人身保護令状と訳され、身柄拘束が適法か否かを争う手続きとして広く用いられる。捜査の際の拘留が適法かどうか、自由刑の判決が無効であり拘束も無効であるという訴えの際の利用。

 公の機関の不正是正のために出される令状がprerogative writs大権令状であり、いくつか種類がある。

 刑罰

 大陸法系の罪刑法定主義に対して、英米法は構成要件と刑罰が成文法でなく判例法によって定められてもよいとされていた。このためコモン・ロー上の犯罪を認める法域がイギリスのみならずアメリカでも少なくない。

 イギリスは大逆罪、謀殺、海賊行為以外は死刑は廃止されている。アメリカでは減ったがまだ使用されている。

 罰金刑は、被告の支払能力を大幅に超える刑を禁じるところが多い。また青少年に特別の保護をする州が大半である。

 英米では無過失の行為に対しても刑事制裁を科す例が多い。

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 8 アメリカ法の多元性

 立法権

 裁判権

 法

 連邦と州との関係について。アメリカ法は州ごとに異なりまた連邦が統制できる事項も限られている。

 9 英米法の研究

 (略)

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 著者は外国法研究の動機の1つに外国文化研究を挙げている。法制度や歴史を学ぶことは外国を知ることのたすけとなる。

 

 ◆感想

 上下2冊で分量はあるが、英米法の概要を知ることができる。 

英米法総論 上

英米法総論 上

 
英米法総論 下

英米法総論 下