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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『文化の国際関係』ミッチェル

 本書は文化交流の性格と発展、その組織と運営、実践されている活動について論じる。

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 文化交流、文化外交は、国際関係において重要な位置を占めている。文化交流の本質は理解することであり、文化の相互理解が友好に役立つ。

 文化外交や文化宣伝は、それが相手を欺こうとするものでないかぎり、なにもやましい点はない。

 この領域の開拓者はフランスである。フランスは自国の文化の総体に誇りをもち、これを植民地や世界に普及させることにつとめてきた。一方、イギリスは帝国主義時代にもそのような動きはほとんど見られなかった。英国人にとって自分たちの文化はそのような熱狂をおよぼすものではなかった。

 イタリアはフランスにならい文化交流政策、交換留学プログラムなどを実行した。

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 各国の文化交流政策を比較している。文化交流・文化広報が外務省の管轄に置かれるか、文化省庁の管轄に置かれるかについて細かく検討される。

 イギリスの文化交流政策が、経済的利益を最終目的としていたのに対し、フランスのそれはフランス文化の伝播や威信の維持など、非物質的利益を目的としていた。

 第二次大戦後、フランス語とフランス文化が英語にとってかわられると、フランスは苦境に立たされた。

 西ドイツのゲーテ・インスティテュートは、外務省の政策から一定の独立を保ったゆえに、他国と良好な関係を築き、またポルトガルにおいては反体制派知識人を結合させることができた。

 組織の作り方や、職員の心がけ(活動的な実務家であるべき、また妻も積極的に国際交流に貢献するのが望ましい云々)、言語と文化の問題など。

 芸術や芸術家は文化交流に多大な貢献をもたらす。シェイクスピアは全世界で認知されており、ヘンリー・ムーアはフランスや南米でも大量の観客動員を達成した。

 

 ◆所見

・文化交流は、お互いに慣習や物の見方を知り、理解するという点で重要である。同時に、文化交流機関は、外交活動だけでなく情報活動の一端をもまた担ってきたという点を認識すべきである。

・本書によれば、自国の文化を伝えることには、経済的利益や、威信の維持といった目的があるという。

 自国民が自分を褒め、外国人に自分を褒めさせる活動は、上の2点に加えて、自分たちを安堵させるという機能もあると考える。

 ただし、自分を安堵させるだけなら他人を見下すことでも達成できるので、この場合は、一方的に自分たちの魅力を喧伝して、同時に他人をけなすことが一体となる。

文化の国際関係

文化の国際関係