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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『大学生物学の教科書3』サダヴァ

 内容:情報伝達、遺伝子工学、免疫、発生と分化

  ***

 12 細胞の情報伝達

 細胞に影響を及ぼすさまざまなシグナルについて説明する。どのようなシグナルであっても、それに応答できる細胞には受容体タンパク質が存在する。

 細胞は、外部環境からの情報を処理することができる。環境はシグナルであふれかえっており、感覚器や細胞がそれを感知する。

 多細胞生物のシグナル反応には、シグナル分子がそれを産生した細胞自身に作用するオートクラインと、近傍の別の細胞に作用するパラクラインとがある。

 シグナル伝達経路とは、「シグナル分子が受容体に結合し、細胞質にメッセージが伝搬され、そして細胞の最終的応答が出現する過程」をいう。

 シグナル→受容体→応答器→効果

 受容体に結合する分子をリガンドという。

 13 組換えDNA技術とバイオテクノロジー

 DNA技術……DNAを切断し、組換えDNAを作成し、それを宿主に注入する方法、また、DNA複製、増幅、改変の方法。

 DNA切断は細菌などがもともと備えている防御策である。これを応用して、DNAフィンガープリンティングといった個人識別法が確立した。

 DNA切断は、遺伝子の解析だけでなく、断片を自由に組み合わせる組換え技術の元にもなった。

 ――DNAテクノロジーの目的の1つが、解析あるいは応用(タンパク質の大量生産など)のための遺伝子のクローニング(多数のコピーを作成すること)である。組換えDNAをタンパク質作成のために用いるには、DNAを宿主細胞内に導入することが必要である。このような遺伝子操作によって変化した宿主(細胞)のことをトランスジェニック(遺伝子導入)生物という。

 新しいDNAを宿主に導入するにはベクターが必要となる。プラスミド、ウイルス、人工染色体など、種々のベクターが開発された。

 その他のDNA技術について……ノックアウトマウスとは、ある遺伝子を不活性化した状態を検証するためのマウスである。万能細胞であるES細胞を操作し、これをマウスに移植する。

 同じような検証に、RNAの翻訳を停止させる技術としてアンチセンス技術が用いられている。

 その他。

 バイオテクノロジーとは、「生体を利用して、食物、薬物、生物材料など、我々が必要とするものを生産すること」である。畜産、農業の始まりとともに人類は絶えずこの技術を利用してきた。

 DNA技術の発展により、より迅速で正確な生物操作が可能となった。
 

 14 分子生物学、ゲノムプロジェクト、医学

 遺伝子変異による異常たんぱく質と、遺伝病、癌との関係、および検出法。治療法の開発、分子生物学、分子医学の発展について。

 遺伝子の変異は疾患の原因となる(血友病など)。また、異常性タンパク質であるプリオンも、疾患の原因となる。

 遺伝子スクリーニング……遺伝性疾患を発見するための検査であり、どの年齢でも可能である。

 癌……癌の主要原因は遺伝子変異である。癌細胞は細胞分裂制御を失っており、腫瘍(細胞の大きな塊)を形成する。悪性腫瘍は、元の細胞と異なった様相を持つ。癌細胞は転移する。癌を発現させるウイルスも存在する(癌の15パーセント)。

 15 免疫:遺伝子と生体防御システム

 生物は病原体に対抗するための免疫システムを持つ。

・非特異防御(自然防御)……皮フ、粘膜、涙、鼻水、鼻毛、胃液等によるブロック。また、動物にもともと生息するカビや細菌による防御、発熱、くしゃみ、咳、痰、その他。

・特異的防御……ある特異的な病原体のみを標的とする防御システム

 脊椎動物は、この両者を備えている。防御システムでは、胸腺、骨髄、脾臓、リンパ節が特に重要な機能を持つ。リンパ球はT細胞とB細胞に大別される。

 炎症は感染や外傷に対する免疫による応答である。

 特異的免疫システムの特徴……特異性、ほとんど無限ともいえる非自己物質や生物に対応できる、自己と非自己を精確に識別できる、免疫記憶を持つ。

 ワクチンは免疫記憶を利用している。作成には、死滅病原体、弱毒化、組換えDNA技術、DNAワクチンが用いられる。

 例:炭疽菌、百日咳、破傷風ジフテリアインフルエンザ菌とウイルス、結核、チフス、肺炎球、コレラアデノウイルス、A型B型肝炎、麻疹、おたふく、ポリオ、狂犬病、風疹、天然痘、水痘

 免疫寛容とは……正常時には、動物の免疫システムは自分の身体の分子を攻撃しない。

 免疫が正常に機能しないと、アレルギーや、免疫不全を起こす。

 HIVはRNAウイルス(レトロウイルス)であり、DNAになる際の校正機能を持たない。よって、容易に変種が生まれるため、ワクチンを絶えず変えていく必要がある。
 多数の薬を組み合わせたHIV治療をHAARTと言う。

 16 発生における特異的遺伝子発現

 多細胞生物のすべての体細胞は遺伝子をすべて含んでいるが、発現は一部である。発生の過程で細胞が変化していくのは、遺伝子の特異的発現によるものである。
 個体が胚から成体まで発生する過程では、決定、分化、形態形成、成長という4つのプロセスが重要な役割を果たす。

 決定……細胞の発生運命を決める

 分化……異なる種類の細胞が現れる

 形態形成……分化した細胞が集合して多細胞個体とその器官を形成する

 成長……細胞分裂と拡大

 異なる細胞において、異なる遺伝子が発現することを「特異的遺伝子発現」という。

 接合子(受精卵)や、多くの植物細胞は万能である。すなわち、すべての種類の細胞を生みだすことができる。

 ――多くの細胞で、分化は可逆的である。

 細胞を抽出し、適当に培養させて生物をつくった場合、これをクローンとよぶ。

 ――胚発生の初期段階では、細胞の核から失われる情報はない。この発生学の基本原理は「ゲノム等価性」と呼ばれる。

 治療的クローン技術は、細胞のクローンにより癌を治療したり、身体を再生させたりすることができる点で注目を集めている。ここには山中教授のiPS細胞も含まれる。

 特異的遺伝子発現は、誘導因子によっておこなわれる。

 パターン形成は、個体の空間的構成を形作る過程であり、細胞分裂と分化、そしてアポトーシス(プログラム細胞死)が重要な役割を果たす。

 細胞に位置情報を与えるのが、モルフォゲンと呼ばれるシグナルである。その他、転写因子や遺伝子が発現に影響する。

 17 発生と進化による変化

 動物の眼は進化の過程で分化していったが、すべて共通同一の遺伝子から進化したものである。

 ――同一の遺伝子が多様な動物の発生を支配しているという事実の発見により、進化発生生物学という新たな学問が急速に発展した。

 多細胞生物でパタン形成を支配する転写因子、シグナル、コードされた遺伝子は、分子ツールキットと考えることができる。

 胚はモジュールから構成される。

 個体は、環境条件に応じてその発生を修正する。これを「発生過疎性」という。蝶は季節に応じて羽の模様を変える。また、幼虫は周囲に応じて擬態模様を変化させる。

 しかし、この修正が正常に働くとは限らない。また、新しい環境シグナルに対して、生物はうまく適応できないことがある。化学物質によって異常な胎児が生まれるのはその例である。

 発生遺伝子が進化を制約する方法……進化はすでに存在するものを変えることにより進化している。鳥の羽はすべて肢から生まれている。よって、天使やペガサスのように、無から有が生じることはない。

 遺伝学者ジャコブによれば、「進化はよろず修繕屋」のようなものである。

 平行表現型進化とは……高度に保存された発生遺伝子が存在することにより、同一の形質が繰り返して進化する可能性が高くなることをいう。 

 

カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学 (ブルーバックス)

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  • 作者: デイヴィッド・サダヴァ,クレイグ.H・ヘラー,ゴードン.H・オーリアンズ,ウィリアム.K・パーヴィス,デイヴィッド.M・ヒリス,石崎泰樹,丸山敬,吉河歩,浅井将
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/08/20
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