うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

2015年 映画のメモ その1

 今年も無職時間を活用して映画をいくつか観た。旧作が100円になってからはだいぶ借りやすくなった。

 

◆「トゥルー・グリット」true grit
 父の仇を討つために14歳の娘が保安官とレンジャーを雇い敵を追跡する。
 隻眼の保安官もかつては無法者であり、仇の一味とも知り合いである。最後は決闘で殺しあうが、どことなく身内同士のような気楽さがただよっている。
 景色や無法者たちの姿がよい。
 賞金首と保安官の関係、娘の商取引、屍体の物々交換等、暴力と無法の中にも、法の観念が用いられていることがわかる。

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◆「娼婦ベロニカ
 とてつもないハッピーエンドで終わる話。

 

◆「スカイフォール

 

◆「3時10分、決断の時」

 近年の西部劇はリメイクが多い。
 片足の牧場主ダンは、報酬を手に入れるために銀行強盗のウェイドを駅まで護送する。ダンは自尊心を取り戻すために、無謀な任務に就く。一方、ウェイドはダンに興味を持ち、大人しくついていこうとする。
 ダンの方針に、強盗がそこまで心を動かされたということが読み取りにくかった。強盗のサブリーダーは冷酷な人間だが、ボスを慕っており、好感が持てる

 

◆「カジノ・ロワイヤル
 テロリストの資金を預かり運用するル・シッフルの外観が印象に残る。かれは爆弾テロ等を利用して株価を操作しようとするなど、行為は非合法的だが、戦闘力は持ち合わせていないようだ。
 一方、ボンドは高い筋肉量を誇っており、テロリストを撲滅するために建物を破壊し、敵を殺害する。
 味方のうちの大半が裏切り者だが、その中にも感情の入る余地がある。

 

◆「ボウリング・フォー・コロンバイン
 コロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフとして、なぜアメリカにおいて銃犯罪が蔓延するかを取材し、検証する映画。
 構成としては、銃乱射事件や子供の銃犯罪の記録、全米ライフル協会やスーパーの店員、街の住人、セキュリティ関係者等のインタビュー、サウスパーク作者の作ったアニメ等からなる。
 内容は雑然としているが、銃に関するアメリカの状況がよく伝わってくる。暴力映画、ゲーム、銃の所持率、家庭崩壊、失業率、征服と奴隷制の歴史、様々な要因から考察されるが、結局、なぜアメリカの銃犯罪が異様に多いのかは判明しない。
 監督は、マスメディアと大企業、政府が国民の恐怖を煽ることにより、銃犯罪の増加を招いているのではないかと推測する。実際以上に恐怖を煽ることで商品を売り、また相互不信を増大させているということのようだ。
 黒人をはじめとする異人種からの復讐を恐れている、とアニメでは説明されるが根拠はない。
 突撃取材が特徴だが、どこまで本当なのかはわからない。あらかじめ脚本をある程度つくってあるのか、そうでないのかは映画を観るだけでは判断できなかった。
 前評判では編集方法や取材方法に偏りがあるということだったが、もともと強い主義主張に基づいて制作されていると知っていれば問題ではない。

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◆「ミュンヘン
 PLOのテロリストに殺されたオリンピック選手の復讐を果たすため、イスラエルの特殊部隊員と仲間たちが暗殺を実行する映画。標的は欧米諸国に滞在するPLOの幹部たちで、軍の工作管理官によればミュンヘンテロの首謀者だという。
 5人の工作員たちが幹部を1人1人殺していく様子が描かれる。
 作戦は概ね成功するが、暗殺に成功してもすぐに後継者が現れる。また、お互いに攻撃の応酬を行うため、争いは止みそうにない。リーダーは任務に疑問を感じ、一度アメリカにわたってから次の指令を拒否する。
 国家とゲリラの戦いが暴力では収束しないことを伝えようとしているが、まず第1に暗殺作戦の迫力が印象に残る映画だった。

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◆「インセプション
 夢の中に入る、夢の中の夢というアイデアは新しいものではないが、これを道具としておもしろい話にする点がすばらしい。
 夢の映像、「トーテム」の使い方、登場人物たちの造型等にこだわりがある。
 話の核は、自分のミスで配偶者を殺してしまった男の後悔であり、インセプション作戦と並行して、個人的な男の心理が描かれる。

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◆「英国王のスピーチ
 どもりの王位継承者が、素性の怪しい療法士との交流を通じて自分の欠点を克服し、無事戦時スピーチを行う。真面目な王の人間性と、家族のサポート、オーストラリア人療法士との友情が焦点である。

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◆「それでもボクはやってない
 平凡なフリーターが痴漢冤罪に巻き込まれ、弁護士や支援者とともに裁判に対応する話。
 余計な三文芝居、感傷的な音楽等がなく、無罪を証明するための戦いに集中する。問題になるのは、特定の悪代官や悪徳裁判官等ではなく、警察の取り調べ方式や、裁判制度の欠陥である。理念上、そうした制度に司法を一任しているのは個別の国民である。
 本編で言及されているとおり、無実を裁判所で争うよりは、罰金を払って示談にしたほうが社会的、経済的な損失は少ない。それでも、無罪を証明しようとする動機は何だろうか。
 イェーリングの本や、英米法の本にあったとおり、自分の権利や尊厳は戦って勝ち取らなければならない。
 カントは次のように書いた、とイェーリングの本に書いてあったような気がした。
 ――みずから虫けらになる者は、あとで踏みつけられても文句は言えない。

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