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the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『古代文字の解読』高津春繁

 現在使われている漢字以外のすべての文字はセム系の1音1文字主義を起源に持つ。アルファベットが普及する過程で古代文字は忘れられていった。

 本書はシュメール・アッカド系の楔形文字とミケナイ・ヒッタイト特殊文字の解読の歴史を伝えるものである。

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 文字は、ものを様式化した簡単な絵から、ある概念のシンボル、そして表意文字へと変化することで生まれる。表意文字、すなわちアルファベットは、もっとも正確に言語を記述できる方式として普及した。

 紀元前12、3世紀頃、ギリシア文字の原型となったフェニキア文字アルファベットや、楔形文字アルファベットの使用が始まった。

 フェニキア文字からギリシア文字が生まれ、さらに分化し、ローマ字、キリル文字等が生まれた。東西キリスト教はちょうど文字によって境界線がつくられた。

 一方、アラム語はペルシアの時代から共通語として普及し、やがてインドのブラフミー文字、アラビア語等へ発展した。

 文書は、何語で書かれているかがわかれば大抵は解読できる。しかし、言葉が未知のもので、他の言語とも関係のないときには解読できない。

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 エジプト聖刻文字(ヒエログリフ)、神官文字(ヒエロティック)、民衆文字(デモティック)の解読はシャンポリオンによってなされた。かれはロゼッタ石や死者の書パピルスを材料に文字の解読をおこない、3つの文字がそれぞれ時代を経て変化していったことを指摘した。

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 ヒッタイト帝国とヒッタイト語は、今世紀初めまではその存在を完全に忘れられていた。

 ヒッタイト語は印欧語族に属する。ノルウェーのクヌートソン、チェコのフロズニーらにより解読が進められた。

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 ウガリット語はセム語の原形をよく残している。

 ――……ウガリット文学はギリシア文学とヘブライ文学を結ぶリンクである……。
 ウガリットの神々は、ギリシア世界と、旧約聖書の世界に強く結びついている。

 ドイツ人ハンス・バウアーによって1930年代に発見された。

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 クレタ島で発見されたミュケナイ文書である線文字Aと線文字Bはアマチュア学者ヴェントリスによって解読が進められた(Aは未解読)。これらの業績によって、従来のクレタ学の権威だったエヴァンズの説は改められた。

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 専門的な言語発掘の歴史なので、特に文法や文字の法則等、難しい箇所が多い。 

古代文字の解読

古代文字の解読