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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『狼の太陽』マンディアルグ

 非現実的で、具体的な言葉の本。問題ある人間がつぶやく形式が多い。物語は伝聞や、時間の転々とするつくりなので、内容を把握しにくいものもある。

 「小さな戦士」は、小人の女戦士をつかまえるが逃げられてしまうというみじかい物語。

 「赤いパン」では、主人公は逆に小さくなり、パンにむらがる昆虫人間たちを追いかける。

 「生首」は、おどろおどろしい、殺人者の話、首を切り取る表現が強く印象にのこった。

 ――そこには、褐色の天幕や、強烈な色彩の毛皮の束や、砂の上に投げ出されたXXや、それに銅と、岩に突き刺した短剣と、トルコ玉製の首輪と、実物よりも大きなかたちに刻んだ珊瑚の唇などをあしらった小さな石庭が点在するあいだをぬって、ひからびた薔薇の花がちらかった、……

 ――男がからだをすこしわきに向けたとき、それは老女の生首であることがわかりました――切り口が血だらけなところを見ると、切り取られてまだ間がないようでした――その首から男は、鳥の羽根をむしるのとそっくりなやりかたで、長い灰白の髪をつかんでは引きむしり、燠火の中へ投げ入れるのでした。

 ――……その狂人が、昨夜、この別棟の牛小屋に侵入し、家畜の頭上の足場で寝ていた下女の寝床を襲い、その年より女のからだを獣たちの腹の下までひきずっていき、その場で鋸を使って首を切り落としてしまったということです。 

狼の太陽―マンディアルグ短編集 (白水Uブックス)

狼の太陽―マンディアルグ短編集 (白水Uブックス)