漢から輸入される以前の「やまとことば」を手掛かりに「基本の日本語を観察し、そのことで日本人の思考や感情の根本のところを見きわめようと」する本。
普段使われているやまとことばにどのような役割、由来があるかについて説明される。
項目は以下のとおり……身体のパーツ(め、みみ、はな等)、草木の一生(もえる、さく、なる、しぬ等)、太陽(ひ、かがやく、はる)、天空(あめ、そら、みず、かみなり)、命(いきる、いのち、たましい、こころ、ひつぎ)、神(かみ、ほとけ、いわう、のろう、まつり)、絆(むすぶ、いろ、おもう、しのぶ)、抽象と具象(もの、こと、とこ、つね、とき、かげ、うつし)、形容詞(あやしい、みにくい、かしこい)、
日本語の基本ルール
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子供の世界とやくざの世界には古代文化がなぜかよく残されているという。
現代の日本語は、事物ごとにことばを変える。これをモノ分類とすれば、「さく(咲、酒、岬)のように、「機能、作用、働き」によってことばを与えるのが、本来の日本語の性質」である。
古代のことばをひとつひとつとりあげていくことで、日本人の世界観の特徴が明らかになる。
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訓読みには外来のものがある。たとえば「文」は本来日本語には存在せず読みはすべて外来である。
日本語は「あいまい」というときこの形容も中国由来である。
――日本語はけっしてあいまいな言語ではありません。おのおのの語感や語源をたどると日本人がどういう内容をそのことばに込めたのかが、明確に立ち現われてきます。
語源をたどってくると、東西で起源が同一のものがある、よって、文化の相違はあるが人間に共通する精神も存在していると著者は主張する。