うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『捜査』スタニスワフ・レム

 『ソラリス』、『完全な真空』、『砂漠の惑星』につづいてこれを読む。

 

 ――盲目的な偶然、偶然のはてしない組み合わせいがいはなにも存在しないのです。無限にある〝事象〟がわれわれの〝秩序〟を嘲笑っていますよ。

 

 刑事グレゴリイは連続屍体移動事件の捜査をまかされる。つかみ所のない主任警部シェパードは彼に解決はしないだろうと示唆する。警察小説風の構成のなかで異彩を放っているのが統計学者シスである。彼の理論によれば屍体の移動は純然たる計算に基づいた位置、時間に起こっており、これには癌の発生が関係する。癌は人を殺すが稀に人を復活させる、イエスがいた時代の中東もその地域のひとつだったという。

 結局事件は解決されず、シェパードによる犯人でっち上げで捜査はおわる。確率、未知の法則、宇宙人、そういう手がかりをつかってもなぞはとけなかった。われわれの理解できる範囲はごく狭い。

 ポーランド作家がイギリスの警察を書く。

 

捜査 (ハヤカワ文庫 SF 306)

捜査 (ハヤカワ文庫 SF 306)