うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『緑の家』バルガス・リョサ

 インディオと交渉するシスター(宣教師)と軍隊が、悶着をおこして退避する場面からはじまる。<緑の家>なる歓楽街の館を構える町ピウラ、インディオ教化につとめる修道院、ペルー軍、商売で儲けをたくらむ行政官ドン・フリオ、刑務所を脱獄した日系人フシーア、それぞれの話が同時に進められる。

 白人、インディオ、軍人、商人、犯罪者が混ざり合って小説が進行する。

 ドン・アンセルモはピウラの町はずれに<緑の家>をたてる。場面と場面は大きく分けられているが、そのなかの会話の断片もまた転々と人物と状況を変化させている。インディアンを搾取する白人と、それを阻止する白人弁護士たち。

 軍曹曰く「夢遊病者を連れ去る骸骨船」。

 ウアンビサ俗は「誇り高く、傲慢で、ほかの部族の連中とくらべてひどく扱いにくい」。

 ――「おれはあの連中が好きだ……助けてもらったから言うんじゃない。ウアンビサ族の人間で下働きや人夫をしている者がいるかね? あの連中は白人の奴隷になるのが厭なんだよ。獲物を狩り戦いに明け暮れる、そんな生活が気に入っているんだ」……「そのせいでどんどん消されて行くんだが、今にひとりもいなくなるよ」

 行政官と軍曹、伍長らは、インディオをこらしめる。リトゥーマは緑の家に帰ってくる。

 緑の家をたてたドン・アンセルモは、フアナを死なせたことから村人に憤激される。緑の家はガルシーア神父に焼かれるが、アンセルモは許されて町の乞食男となる。

 登場人物たちの生涯が、時系列に沿ってではなく、同時進行で示される。

 

 ドン・アンセルモの死によって本は終わる。インディオの女ボニファシアは修道院から軍曹に拾われて娼家の女主人になる。フシーアは足をだめにする。軍曹はアマゾンでの仕事をやめて帰ってくる。

 インディオと白人、軍人と政治家と聖職者の交流以上のことはわからない。 

緑の家 (新潮文庫)

緑の家 (新潮文庫)