うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

旧植民地のあそび 7(2012)

 すこしだけ、さびの浮き出た金属のはさみで、作業台の上の皮をとりわけた。ステンレスの台に、血が浮いている、それでもよくふきとっているので、皮、生皮からこぼれた血液はかたまりになった。

 作業員は、そなえつけのペーパーでよごれをぬぐった。ビニールエプロンの男が、次の人体のまとまりをもってきた。この男は帽子をかぶって、人体のだす蒸気、湯気が頭部にくっつくのを防いでいる。台をとりかこむ数名の作業員が道をあけた。

 どいてどいて、どけ。

 人体は、この工房によって考えられた、特殊な加工をほどこされる。

 四肢や頭部のつなぎ目は、生きているときとおなじように、姿勢を保持して、大きさについてはひどく縮んでしまった。ビニールエプロンから、男の腹の脂肪が確認できる。

 人体を両手からおろすと、台の上に、ばらばらと落ちて、かわいた音をたてた。エプロンの男は、どうぶつとおなじ骨の成分や、栄養分をもっているため、そのような場合、貿易公社では、2種類の登録証を発行することができる。

 窓口にたつと、強烈な臭いのする大男がやってきて、手続きしようとたくらでいた。

 わたしはこれまで労働させられてきて、特別の証明を何度かだしたことがある。

 キツネと、白と赤の衣裳で統一された日本娘たちの列、この本体は小さいキツネだと知らされた。

 公社のたてものが、広場の噴水からせり出した。毎朝、日の出すこし前に、わたしは馬からおりて門をあける。朝晩は冷え込みがきびしいので、人影がほとんど見当たらない。

 石畳のすき間に、きのうの太陽熱がまだ残っているのを感じた。このため、つんのめって横たわる弟のからだから、菌の生長する気配がした。