うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『国際法』中谷和弘ほか

 『入門』よりも専門的な内容を扱う。

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 国際法の変遷とその意義、国内法や日常とのかかわりを概説する。

 友好国同士の犯罪人引渡しなどの国際礼譲や、国際儀礼のための措置(プロトコール)は国際法上の義務ではない。国際法に強制力がないこと、国内法と根本的に異なることは『入門』でも強調されていた。

 国際法はそのときの世界情勢に大きく影響を受ける。たとえば途上国と国際法の問題があげられる。帝国主義時代、非文明国は国際法上「無主地とされ、先占による領域獲得の対象とされた」。これが委任統治制度に変わり、WW2後は民族自決の原則により「人民の自決権を侵害するような形での領域取得は、国際法上合法なものとはみなされな」くなった。

 最古の国家間条約はメソポタミアの都市ラガシュウンマの間での領土条約である。

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 国家主権における国家の独立権と、人民の自決権は異なるものである。ある国家内で人民が迫害されているとき(アパルトヘイトなど)、人民の自決権に従って国外から干渉がおこる場合がある。

 管轄権……国家は属地・属人・旗国の三種類の管轄権を有する。船舶・航空機は旗国主義(登録国のみが管轄権をもつ)である。米国は、「外国領域内で行われた外国人または外国企業の行為であってもその効果が米国に及ぶ場合には米国国内法の適用を認める」という「効果理論」を唱えている。

 国家利益を侵害する重大犯罪(内乱、外患誘致など)には、実行者の国籍を問わず国家管轄権行使を認める「保護主義」が認められる。また海賊、ハイジャックなど国際社会全体を侵害するものにはあらゆる国の管轄権行使を認める「普遍主義」がある。

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 国家機関の主権免除を認める基準で現在主流なのが事項的基準である。制限免除主義が一般化した現在では行為・財産の種類が重要となる。制限免除主義は、外国政府と取引する私人を保護することができ、私人の活動を奨励する。

 軍艦は旗国の完全な支配のもとにある。軍隊の地位についての慣習国際法はないが、基本的には派遣国が管轄権をもつ。また地位協定で詳細に定めることが多い(日米地位協定など)。

 国家元首の行為は通常国家に帰属するが、極東軍事裁判所とニュルンベルク以来、個人の国際犯罪も認められるようになった。

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 国際法の存在形態、法源については、法学の知識が不足しているためか、よくわからなかった。

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 条約の締結、発行、解釈、効力、終了などは一九六九年に国連で採択された条約法条約が根幹となっている。条約の名称は多様である……条約treaty、協定convention、議定書protocol、宣言declaration、憲章charter、規約covenant、盟約pact、決定書act、協定agreement、和親協約concordat、取極arrangementなど。

 「条約の一部の規定の自国に対する適用を排除したり変更するために考案された法技術が留保」である。留保によって多数国が条約の当事国となることができる。

 条約は第三者に対して義務または権利を創設しない……「合意は第三者を害しも益しもしない」。

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 違法行為の構成要件には問題行為の国家への帰属と、国際法上の義務違反があげられる。しかし、この違法性が阻却される場合もある(違法性阻却事由)。違法行為があり、損害と被害国があった場合、追求要件が成立する。

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 領海内には外国船舶の無害通航権が存在する。国際海峡には停止できない無害通航権が存在する。EEZ領海基線から200海里以内で沿岸国が自由に設定できる。ここで沿岸国は天然資源についての主権的権利を有し、科学調査についての管轄権を有する。

 沿岸国は大陸棚において天然資源の排他的利用を認められる。

 公海high seasでは国家管轄権が及ばず、公海自由の原則が適用されている。公海では旗国主義が貫かれ、「当該船舶は、原則として旗国の排他的管轄権に服する」。

 深海底Areaは人類の共同遺産とされ、国際レジーム(国際海底機構)による開発が約束されている。

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 日米カナダ韓国などは、領空の周囲に防空識別圏を設定し、侵入航空機にたいしスケジュール提出と飛行位置通報を義務付けている。

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 難民の保護について……在外公館に逃れてきたものを保護する外交的庇護diplomatic asylumは一般的に認められていない。しかし送還したときに難民に危害が加えられる可能性のある場合は「ノン・ルフールマンの原則」に基づき送還してはならないとされる。

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 国際刑事法

 政治犯人不引渡しの原則が慣習となっている。政治犯のうち絶対的政治犯罪とは反逆、内乱誘致、クーデター陰謀などを指し、相対的政治犯罪とはあくまで普通の手段(殺人、放火など)で行う政治犯罪を指す。

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国際法 第2版 (有斐閣アルマ)

国際法 第2版 (有斐閣アルマ)