うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『Rain and other south sea stories』W.S.Maugham

 船上の二組の夫妻、マクフェイルとデヴィドソンはお互いを唯一気の会う同行者と感じていた。教父であるデヴィドソンの担当地区には、現地人のあいだに非道徳的な踊りの習慣がある。

 雨が降り、彼らの船は感染病者発生のためしばらく停留せざるを得なくなる。デイヴィドソン夫妻の布教の思い出を聞く。Danish Traderデンマーク人の商人。

 神父の教区に存在したいまわしい娼家の話。

 大英帝国の役人マッキントッシュは南海の島エイピアを統治する叩き上げのウォーカーにあこがれていた。本島の優秀な官僚からすればウォーカーは自力で植民地世界を生き抜いてきた英雄である。しかし彼はこの南海育ちの粗暴なイギリス人をやがて憎むようになり、彼を憎む原住民が彼を狙うままにする。粗暴・豪放な人間と神経質で几帳面な人間はどこでもそりが合わないようだ。

 モームのなかの白人にとって南海、植民地とは人間を堕落させる土地である。黒い肌、中国人、熱帯の気候、これらは白人を腐敗させる黄泉の国の風物のような扱いをうけている。

 結婚を約束した妻のためタヒチに出稼ぎにいった青年は現地の生活に浸かって別人のようになってしまう。自然に囲まれ、必要最低限の稼ぎと労働で食い扶持を得て、風呂に入りパレオを着る暮らしは魅力がないわけではない。青年をシカゴに連れ戻そうとした友人も滞在を一緒に楽しむ。

 ビジネスマン人生を投げ出して南海の生活を楽しむ人種の姿は今にも通じる。しかし彼らの転生もまたどこかからの借り物である。

 "You touched the eternity." "I found the life."

 イギリス人にとって肌の色は決定的な違いだった。

 

Rain and Other South Sea Stories (Dover Thrift Editions)

Rain and Other South Sea Stories (Dover Thrift Editions)