14 the limits of philosophical knowledge
たいていの哲学者は、宗教の教義や、宇宙の本質的合理性や、ものごとの無実体性や、悪の非実在性を、先見的、形而上学的思惟によって証明できると述べてきた。しかしラッセルによればこうしたことはいっさい無益であり不可能である。本章でラッセルはこれまでの哲学をひとつひとつ否定していく。
ヘーゲルの考え……あらゆる欠落したものは補われなければならない、それ自身では成り立たない。われわれが理論をたててそれが不完全のとき矛盾が生ずる。そこでわれわれは、既存のアイデアとそれにたいするアンチテーゼを用意する。この二つを総合したものがあたらしいアイデアであり、より完全に近い。この作業をつづけると、absolute idea絶対概念がうまれる。
絶対概念は完全であり完成であり、完全な現実を記述する。これは神が見ることのできる、いっさいが合一した世界である。
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むずかしい話がつづいたが、「哲学は思考訓練として役に立つ」と結んでおわる。
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