うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『私のマルクス』佐藤優

 いわく、現実の共産主義国家とマルクスの著作は、ドイツのキリスト教民主同盟とイエスの言葉が直接関係がないのと同じように、直接関係がない。マルクスという目を通して世界を観察することを著者は心がけている。だから書名も『私のマルクス』なのである。

 

 回想の形でマルクスとの出会いや、自己の歩みが語られる。浦和高校一年のときに東欧を一人旅したという。また、中学時代に秀才とではなく、やんちゃな生徒とつるむことで「安全保障とはなにかを体感した」などと書いているのは愛嬌がある。

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 彼が旅行したときの東欧は、スターリン体制下とはまったく違う様子だった。ハンガリーポーランドチェコスロバキアといった中小国はソ連に抵抗することが不可能なので、せめて国民の不満をそらそうと一種の愚民政策をとっていたという。食品と酒、娯楽、休暇を充実させたため、国民は気楽な生活、「小さな物語」を謳歌していた。

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 キリスト教、とくに無神論に関心を抱いていた著者は同志社大学神学部を受験する。九時から四時まで図書館にこもって神学書を読んだ。著者は常に書物と神学、マルクスに取り組んでいた。

 

私のマルクス (文春文庫)

私のマルクス (文春文庫)