うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

とりでの警備(2012)

 夜、空気の色が組み合わせを変えて黒色の
 古い鉄の反射を生みはじめるころに
 わたしともうひとりの警備、死んだ
 魚の肉をまとって、こまかくくだかれた
 骨とやわらかい器官のたましいを
 はだかの表面にまぶした、武装した
 すがたの2人は、とりきめにしたがって、海溝にむけて
 せりだしつつある
 監視塔の勤務についた。
 鉱石の、冷たいにおいが矢の先端でただよって
 いるかとおもうと、下番した人たちの糞と
 脱ぎ捨てられた化学防護服、無数の
 細分化されたセンサーにおおわれて、特定の
 声、とりと、きれいな昆虫と、どうぶつの
 連続写真に反応する波形のもの
 見落としそうになったのでわたしは手をかざした
 足元には、夜露と、無音の波があり、すべての
 波はうごきをやめて黒く沈み込んでいるようだ
 月の発光する領域だけ、黄色いコハクになり、わたしは
 村の人たちが釣りに興じているのを見た
 背中にはべトンがあり、ひんやりとして、皮フの
 熱を奪った、前方には何もない
 前方にはとくにものごとがないようだ、と言ったが、もう1人の
 警備は逆のことを言った
 しかし、ことばが波形をゆがめてしまい、きこえない