ソ連末期の政治パンフレットで、『あらかじめ裏切られた革命』で描かれているようなロシアの惨状をいかに解決すべきかが提案されている。制度改革・経済政策の項は大味だが、帝国のプライドよりもロシア民族の維持を優先するためにカザフスタン等異民族の共和国を分離させよとの主張にはおそらく正当性がある。
「たとえば、日本などは運命を甘受し、国際的使命や魅力ある政治的冒険を放棄しえた途端、繁栄を達成できたのである」。
ソルジェニーツィンにとって最優先事項はロシア人の回復であり、健全な「雰囲気」の形成である。
いかなる制度も社会の雰囲気をつくることはできない。制度上の自由だけを推進すればやってくるのは恥知らずの自由である。