うちゅうてきなとりで

The Cosmological Fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『地上最強のアメリカ陸軍特殊部隊』三島瑞穂

 第一部ではアフガン、イラクなど近年の事例を中心に特殊部隊の役割を解説し、第二部では著者の体験が語られる。アメリカとその自由主義への強烈な信仰が文の端々から垣間見える。善い悪いの問題ではなく、根底に強い信仰や忠誠がなければ、危険な特殊部隊の仕事などはやってられないだろう。「軍隊は金儲けをするところではない」と再三強調されている。

 

 著者はグリーンベレーの経歴を誇りにしており、自信に満ちている。敵を殺害、誘拐する任務を説明するときにも一切の弁解はない。そもそも軍隊の価値基準は平時の社会とちがうのだから人を殺したからどうのこうのといわないのは当然だ。

 特殊部隊の仕事の第一は現地での協力者、情報提供者の育成、同盟国の部隊指導、育成などである。ほかに武器、爆弾、医療、通信など専門技術に特化したメンバーがいる。対タリバン戦やイラク戦争での迅速な制圧は、著者いわく特殊部隊の情報収集や爆弾誘導によるところが大きい。

 日本のような専守防衛国家にこそ、特殊部隊が必要なのだと著者は主張する。新しい戦争、つまり対テロ戦においては特殊部隊の技術が不可欠となる。テロの報復手段をもたない場合、不審船によって国民を拉致されたので、頭を下げつつ被害者の返還をお願いするという不可解な事態におちいる。

 グリーンベレーキューバ侵攻の失敗から学んだケネディによってつくられた、非正規戦をおこなうための部隊である。はじめは軍隊のなかでも冷遇されていたため、装備や武器はほかの部隊から盗んで使っていたという。いまや特殊部隊の存在は世に知られ、また地位や栄誉も相応に与えられるようになった。

 新旧隊員の親睦会や記念式典の様子から、まさにフィクションのような戦友、盟友の関係がつくられていることが伺える。

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 グリーンベレー入隊の資格は次のようなものである……高卒、視力1・8以上、親族に精神障害者なし、重犯罪歴なし、二五キロを背負って8キロを四五分以内で走る、制服とブーツで平泳ぎできる、地図暗記能力、外国語習得能力があるなど。素質にめぐまれたもの以外はなりたくてもなれない。

 ほか、性欲処理にかんする体験が豊富である。