うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

シホテ・アリニの計画

いま、このときをもって口のなかからもうひとつの空域がうまれる
ことがわかった 実際におきたことなのでわかる 口腔に
すきまなくべっとりと粘膜が塗りこめられて、表面がひとつに
つなぎあわさると波紋がうまれた、それはのどの構造を
よく知っているものの考えによるものだとおもった。せまい
トンネル状の道を抜けると、沿海の空気、冷えきった山の
粒子がまたたくまに広がる、ぜんぶ子供がやったことだ、
幹も、茶色い、栄養のない土もなかば凍りついて、恒星はぜんぶ
妹がつかまえておいた しっくいの奥にぬりこめ、そうでなければ
秘密の日記のなかにはさみこんでいるはずだ、横隔膜が
ふくらんでいくと、白亜の骨の行列、銀の装飾をほどこされた
あばらが1本、1本と閉塞していった、妹と子供たちはもっと
近くにきてみてごらん、とうながされたので
しゃがみこんだ 食い入るようにして、ひとつの海があらわれる
のを観察している
子供も、犬とフクロウたちも、すでにきのうのことを覚えている
妹の眼球は大陸のすみからすみまで知れわたっている、どこを
みているかいまでもわからない、きれいな色つやをしている、さわると
電鍵を押したときのような、心地よい音が鳴る
 大きな道をつくったがそれがまちがいだった