うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

岩のすきま(2011)

 左手を、焼け焦げるにおいと
 通知されない電報でくるまった
 手で、海底ケーブルをなぞっていくと
 門の外に出た
 塩水が、どうぶつの毛皮と皮フに
 しみこんで、鼻の奥をさす
 ような刺激がつたわり、とぎれた
 とおもうとまたつづく
 風景のなかにかくれていた
 子供たちは、畑と、まばらな
 くさむらにころがった
 さまざまなもの、つぶれた車、鉄塔の
 骨から骨を、あやとりのように
 くぐりぬけた状態で吊るされている
 姉とそのそっくりの群の頭部、
 ぶどうの房状にひろがり、風景のあらゆる
 角度にむかって、具体的な名前
 だけを放射している、しかし、電気信号に
 変質していてききとれない
 畑のなかにみえない線が
 ひかれて、海を切り分けて
 いる、自分たちのもちものである
 図形を管理する
 子供たちが手を振ったのでわたしは
 準備ができたとおもった、小さくて
 白い、指でおすとやわらかく
 へこんで、すぐにふくらみそうな
 腕のつけねからブチっと
 はずれた、彼らは親から受け継いだ
 ものを律儀に返納する