プラグマティズムは、合理主義と経験論の中間に位置する。
合理主義は、経験の背後に永遠の真理、本質を置くが、プラグマティズムはこれに与しない。一方、完全な唯物論のように一切の精神的、宗教的要素を否定することもしない。
プラグマティズムは経験の世界を重んじ、哲学や真理を我々にとって有用であるかどうかという基準で判断する。プラグマティズムにおいては、真理とは人間の変化に合わせて更新されていくものである。真理は人間から独立して存在するのではなく、人間の実在の検証過程を真理と呼んでいるのである。
プラグマティズムは一元論的ではなく多元論に属する。世界は一枚の体系から成立しているのではなく、複数の真理から成立している。
プラグマティックな宗教観とは、世界を部分的には救済可能なものとみなし、改善を進めていくような傾向をいう。
実用性や有意性、卑俗な現実を重んじる態度には納得できたが、私には社会を漸進的に改革するような立派な心が欠けていることがわかった。
- 作者: W.ジェイムズ,W. James,桝田啓三郎
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