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うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『孤島の鬼』江戸川乱歩

 なんの変哲もない生活から、異常な人間たちの世界にまきこまれていく話。

 主人公の賃金労働者は、恋人を殺される。これを調査していた友人の探偵も殺される。主人公のことを好いている同性愛者の友人がいて、2人は協力して犯人をつきとめようとした。

 雑記帳が発見され、その中身が引用されるところから、日常生活がこわれていく。雑記帳は、幽閉されたシャム双生児によってかかれており、この障碍者の様子も、まわりの風景も、常軌を逸している。

 主人公とその友人は謎をとくために離島にむかって出発する。この島では、不具者の生産がおこなわれていた。

 恋人の死は単なるきっかけとして扱われていて、主人公もあまり動揺をうけていない様子だった。文字の上では動揺したとかかれているが、主人公の思考も、作者の興味も、異常な島への冒険にむいていると感じた。

 不具者たちの不気味なうごき、黒幕であるくる病の老人の邪悪さが印象に残った。島でおこなわれる宝探しと、地下迷宮からの脱出は、風景がよく思い浮かんでおもしろかった。

 

江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼 (光文社文庫)

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