うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

鉄の睡眠(2011)

 ある、きめられた周期で白い
 金属の網に浮いた
 錆をけずりとるようにたのまれた
 そのときはわたしの
 からだの各関節の位置、すこし
 骨ばっている、寒さでかわいた
 皮フにぴったりと沿うように
 銃剣の先をあてられたので、作業を
 はじめると申告してから
 とりかかった
 口を大きくひらいた
 姉の首から上は、コンソールの
 内部にだけあらわれる
 わたしは暗い部屋、紫とオレンジの
 スイープする光の線分
 だけがぼんやりと、まわりを照らす
 監視室のなかで、姉の口に
 魅入られた
 歯ぐきには、ガラスのサッシみたいに
 細かくつくられた、凸面レンズが
 はめこまれているかのような、
 わたしは眼をこすって、やはり
 口いっぱいにレンズがはめこまれている
 ことを確認した

 

 姉は、人間の眼ではわからない、
 ゆっくりした間隔で、角度を調節している
 これが、第1番目の工程だ
 回転しているものは八割方からだを
 けがさせる、表皮がすりきれて、
 組織液が、くだものをしぼったときと
 同じ水圧でほとばしる
 わたしは姉の手をひこうとしてはじかれた
 手首をつかもうとしたが、ほんものでは
 なく二重に映る航跡の片方だった

 

 うずまきの図形をえがきながら、銀縁の
 めがねをかけたウズベク人とその
 双子のトルクメン人が、おたがいの指や
 髪の毛の端末をむすびつけて
 観測されている