うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『ロシアとソ連邦』外川継男

 ロシアの歴史を紀元前からソ連崩壊直前までたどる本。日本との国交については、別個でくわしく説明している。ロシア革命からソ連にかけての歴史はこれまでにいくつか読んだことがあるが、ロシア帝国や、それ以前の時代についてはなにも知らず、新鮮だった。

 精神的におかしいイヴァン雷帝や、趣味の兵隊ごっこが高じて軍事改革にのりだしたピョートル大帝など、個性的な君主が多い。キエフ・ロシア時代にギリシア正教を採用したことが、ロシア文化をかたちづくる重要な転換点となった。

 ロシアはつねにヨーロッパにおくれをとっており、歴代の皇帝、ピョートル大帝やエカテリーナたちは、後進的な自分の国をいかに改革するかなやんだ。ロシアは農民の国であり、かれらは地主に隷属し、また交通の便が悪く、地方行政は貧弱だった。

 軍制はいつも旧式であり、近代化を進めようとすれば、これにともなってあらわれる反体制勢力、農民やコサック、知識人をおさえるために反動政策をとらなければならなかった。

 ピョートル大帝の時代から、秘密警察や収容所、言論統制といった統治のしくみが確立していた。ロシア帝国末期には反動政策でも抑えきれないほど、国内の不満がつのっていた。また、民族問題にも常に悩まされた。ソ連の成立と、スターリンによる民族政策によって水面下にあった民族紛争は、ゴルバチョフの時代になるとふたたび表面化した。

 ロシア革命の成功については、帝政がすでに崩壊しかけていたことが幸いだったと感じた。反動政策は敵を増やし、味方をへらすことになる。スターリンが成功したのにはどのような秘密があったのだろうか。

 

ロシアとソ連邦 (講談社学術文庫)

ロシアとソ連邦 (講談社学術文庫)