言語学の古典らしき本。今は別の説が主流であるという。
言語は思考そのものをかたちづくるものであり、大部分、言語にもとづいて人間の認識はつくられている。用いる言語によって、認識の仕方は多様であり、どれがもっとも正しいとか、進歩しているとかいうことはない。よって、ヨーロッパ言語を基盤につくられた科学や数学も、現実を解明する唯一の方法ではない。言語が変われば人間のものの見方は変わるが、同じ人類なのだから共通点もある。
サピア=ウォーフの仮説の根拠がこの本のようだが、重要なのは言語が認識のすべてを形成するのではなく、あくまで強い影響を及ぼすにとどまっている点のようだ。
アメリカ先住民のことばを調べたうえで、ヨーロッパの諸言語とまったく異なる特徴をもつことを指摘している。言語に優劣のないことを力説しており、評論全体について、理路整然とはしていないが、マイナー言語について興味がわいた。