うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『砂の都』マルセル・ブリヨン

 探検家が中央アジアの砂漠に深入りし、砂嵐に巻き込まれる。岸壁に掘られた穴にひそむと、仏陀の顔と壁画が残されている。眼下には巨大な砂山が広がっていて、砂嵐によって徐々に削り取られていき、嵐が晴れたとき、砂のなかに埋もれていた都があらわれた。

 探検家は都で生活し、やがてモンゴル軍の侵攻によって都は亡ぼされ、探検家は都のまぼろしから目覚める。

 都にはバルドゥクという名前の語り部がいて、おもしろい話をする。彼の話は、一時的な興味をひきつける、ただ刺激的なものではなくて、世界の秘密に触れているような、不思議な印象を抱かせる。聴衆はバルドゥクの話にひきつけられる。彼が死ぬと、通俗的で安っぽい話が散乱し、聴衆は同じように飛びつくがすぐに飽きてうんざりするのでやがてすたれてしまう。

 貴金属細工師はすばらしい工芸品をつくる。モンゴル軍がやってきても、彼はのんきに散歩している。モンゴル兵も、話してみてつい戦意を喪失してしまうが、上官にせきたてられて細工師を射殺する。

 探検家と親しくなったきれいな女は、モンゴル兵の弓で射殺される。

 やわらかい言葉を使って、中央アジアの風景、都の色とりどりの景色、工芸品、山や星を表現しており、まぼろしの中にいると感じる。話の筋はあまりあたまに入らなかったが、風景やモンゴル兵の侵攻する空気は頭に残っている。鮮明だが、全体としてやはり幻想のなかにいるのだということがわかった。

 

砂の都

砂の都