うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『In the country of the last things』Paul Auster

 ある女はむかしの恋人に手紙を書いている。女は兄を探して「最後の国」にやってきた。そのまま出られなくなった。その国の状況を、女は細かく報告してくれる。

 奈落の底のような、現世のむなしさを煮詰めたような町で、人びとは絶望にうちひしがれて生活している。迷宮のような構造、自殺集団、がれきや廃墟から金目のものを探す人びと、泥棒や強盗、猟奇殺人者、暗殺組織、等々、幻想的な世界だが、現世の面影が感じられて、これはたぶん現世をひとつのかたまりにしたのだという印象をうける。

 ウォバーン・ハウスという、物資がととのい、医者もいる施設に女はたどりつく。施設は、町の外でおこっているような凄惨な犯罪がない。しかし、住民はささいなことでもめてしまう。やがて医者が死に、物もなくなってハウスはもぬけの殻になる。わたしたちは集団をつくり、この施設のように栄えては亡びる。

 性的な場面が散見されるがわたしにとっては無用の部分だった。

 

In the Country of Last Things

In the Country of Last Things