うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『アルゴールの城にて』ジュリアン・グラック

 ブルターニュの森と丘に囲まれた城で、主人公アルベールと友人エルミニオン、謎めいた女ハイデがなにも繰り広げずにハイデが死ぬ話。ワーグナーの「パルジファル」が下敷きになっているというが読んだことがない。

 柔らかい、幻想的な風景描写に、登場人物の行動が溶け合っているので、集中して文字を読み進めないと何がおこっているのかわからない。不思議な雰囲気をもった森や道、重々しい、迷宮のような城の質感、月明かり、湖の風景がよく伝わってくる。

 3人の会話は一度もセリフではあらわされず、ただ会話の印象とまとめだけが描かれる。どんな経緯でハイデが死んだのかもよくわからなかった。

 グラックはユンガーに影響を受けた、とどこかで読んだが、確かに曖昧模糊とした雰囲気、風景の美しさはユンガーの本に似ている。といっても外国語ができないので日本語でしか読んだことはないが。