うちゅうてきなとりで

the cosmological fort 無職戦闘員による本メモ、創作、外国語の勉強その他

『Globalization and its discontents』J.Stiglitz

 グローバリゼーション、とくにIMFの政策の失敗をあげ、問題点と対策を論じる本。
 IMFは途上国に対し一律に経済自由化を指示したがこれによってさまざまな失敗が生まれた。自国産業の十分に発展しない状態で自由化を行うことは海外資本によって国が占有されることを意味する。これは銀行についても同様で、不完全な状況のまま金融の自由化をおこなったことによって国内の銀行は一掃され、海外の金融機関に独占されることになった。セーフティーネットや規制の定まっていない状態のまま自由化をおこなったことにより、失業者は増大し、ルールを無視したマフィア的な経営がおこなわれ、いくつもの途上国が政治的不安定に陥った。
 グローバリゼーションによって、一国の不況が他国に波及するようになった。アジア通貨危機はその一例である。
 危機が起こった際にIMF補助金を投入するが、多国籍企業はこれを見越してずさんな経営をおこなうようになった。
 IMFは自分の失敗を認めず、また、不透明な運営を続けている。公的機関にもかかわらず組織の意志決定プロセスは不透明であり、一定の企業、石油会社や証券会社の利益のためにうごいているのではないかという疑いが抱かれている。

 IMFは途上国に対しては一貫して自由化、規制緩和マントラを唱えつづけているが、合衆国は不況や景気後退が生じるたびにIMFとは正反対の政策、保護主義的政策を施行する。

 IMFはマクロ視点で経済を判断するため、一部のエリートと企業を豊かにする一方で、失業者と下層階級の困窮を悪化させた。
 スティグリッツは教育や医療の普及をあげて、グローバリゼーションの功績を認めている。

 今後の方策として、各国の状況ごとに異なった対応をすること、あくまで民主主義を基調に据え、一部のエリートや企業の利益だけでなく、国民全体の生活水準の向上を目標とするべきであると主張する。

 

 

Globalization and Its Discontents (Norton Paperback)

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